「偽装請負」の是正対応 (請負シリーズ20)

◆問題は「事業主責任の所在」
 厚生労働省の各都道府県労働局長宛資料「偽装請負の解消に向けた当面の取組み」※1)によると、主に製造業の大規模事業所等で活用されている請負事業において「偽装請負」が散見され、それに伴う死亡災害をはじめとする“重篤な労働災害”の発生等、労働者の安全衛生・労働条件確保上の問題が顕在化しているのは、事業主責任の所在が曖昧になった為としています。そこで、以下の5点に重点を絞り、製造業等を中心とした「偽装請負」の防止・解消を図ることとされました。重点事項は、(1)周知啓発の強化、(2)相互情報提供の徹底等、(3)共同監督の強化、(4)労働安全衛生法等違反を原因とする死亡災害等、重篤な労働災害を発生させた事業主等に対する厳格な対応、(5)監督指導の強化です。
◆「偽装請負」の是正対応
 事業主としては法違反である「偽装請負」を継続する訳にはいかないので、今後どのように対応していくかが問題となります。その是正対応として、外井浩志弁護士※2)は次の3点を挙げています。即ち、第一に、所謂「告示第37号」※3)に沿って「適法な請負」へと要件を満たすよう整備すること。第二に、「適法な請負」による整備が困難であれば、「労働者派遣」へ切り替えをしなければなりません。勿論、それには労働者派遣事業者でなければならず、派遣事業の届出または許可が必要なのは大前提です。第三に、この対応も困難な場合は、「直接雇用」するしか方法はありません。
◆「請負の実態が伴っている」こと
 このような偽装請負対策は、請負契約や業務委託契約の形式的締結に留まることを意味せず、実際に請負事業者が請負事業として独立した業務に従事せず、注文先の指揮命令に従って注文先の業務に従事している現実があっては解決したことにはなりません。請負を完成させるためには、「雇用と使用が一致」しなければなりません。二重派遣や二重請負、多重派遣や多重請負等にまで波及している「偽装請負」に対しては、職業安定及び労働基準行政上において、当局は監督指導強化で臨んでいますので、「適正な請負」を完成させるためには、「請負事業主が講ずべき措置に関するガイドライン」※4)に従い、各要件を完璧に満たした上で、「請負の実態が伴って存在している」ことが肝心な要素と考えられます。
※1)「偽装請負の解消に向けた当面の取組について」平成18年9月4日付基発第0904001号・職発第0904001号。厚生労働省労働基準局及び職業安定局公表資料。
※3)「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」。
※4)「製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む請負事業主が講ずべき措置に関するガイドライン(平成19年6月29日付)」厚生労働省職業安定局公表資料。
参考:「増強改定版 偽装請負と事業主責任(菊一功著)」(株)労働新聞社。※2)「偽装請負-労働者派遣と請負の知識-(外井浩志著)」労働調査会。