告示第37号 請負要件 疑義応答集について (請負シリーズ47)

◆「Q&A」形式の疑義応答集
 今年の5月に遡及しますが、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)※1)に関する疑義応答集が厚生労働省より公表され、当ブログ読者の皆様もご覧になられたことと思います。当該応答集は「Q&A」形式で記述されているので読み易いのですが、事例の記述表記から一部誤解される点があるのを懸念し、以下にコメントします。
◆事例の表記について
 該当箇所は、「5.発注者の労働者と請負労働者の混在」の項目です。と言うのは、当該Qの文面で《パーテーション等で区分しないと偽装請負になりますか》との質問表現になっている為、“パーティション※2)による仕切りがあれば、請負は成立する”という誤解を招く要素が皆無とは言えないと考えたからです。勿論、これは“パーティション(partition)の存在有無のみで「請負の成立」は判断されるものではない”という厚労省の意図と解釈しています。尚、ここで蛇足ながら、当該疑義応答集については、木村大樹氏(国際産業労働調査研究センター代表)が『労働あ・ら・かると』(労働調査会法律ブログ)の5月記事(その4):《「派遣と請負の区分基準」疑義応答集の何が問題か》の中で、一部について《もう一度やり直すべきではなかろうか》と指摘されていますのでご参照ください。
◆「要件」充足が大前提
 閑話休題、当該Q(質問)に対するA(回答)は、次の「要件(a)及び(b)」を満たさなければならないという趣旨を明示しています。即ち、(a)《請負事業主が、自己の労働者に対する業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行っていること》、また、(b)《請け負った業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理することなど》を必要としています。そして、《作業スペースがパーテーション等により物理的に区分されていることがなくても》、また、《混在していたとしても、それだけをもって偽装請負と判断されるものではない》と回答していますが、これは前述の「要件」を備えていることを“大前提”としている点が最重要ポイントです。これを鵜呑みにして、「パーティションの仕切りがなくても、また混在していても偽装請負には相当しない」と勝手な判断をしてしまうのは早計です。
 要するに、前述の「要件」を満たしていなければ、パーティションの有無にかかわらず、「請負」とみなされないということです。従って、《発注者と請負事業主の作業内容に連続性がある場合であって、それぞれの作業スペースが物理的に区分されていない》場合は、当然、偽装請負と判断されることを示唆しているものと捉えることができます。
※1)正式名称:「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」。※2)冒頭の《(37号告示)及び「パーテーション」》は、原文のまま記載。筆者は「パーティション」と表記。
参考:2009年5月1日付厚生労働省公表資料。