請負は、双方がリスク回避を前提に (請負シリーズ4)

◆請負は「商行為」 
 「請負」は、単なる労働の供給が目的ではなく、「仕事の完成が目的」である点に最大の特徴があることは、当ブログの前回エントリー※1)でご紹介のとおりです。請負人による仕事の完成に対する報酬を得る点で諾成・双務・有償契約に当たり、作業又は労務の請負を営業としてするときは、商行為(商法第502条第5項)となります。従って、仕事の完成を目的とするため、「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる(民法第634条第1項)」と規定し、請負人の担保責任が問われるのです。また、注文者は自らの判断で、「瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をする」※1)ことができ(同法第634条第2項)、その瑕疵のために「契約をした目的を達することができないときは、契約の解除をすることができる(同法第635条)」と規定しています。
◆注文者の契約解除が制約される場合も
 他方、請負人に対する一方的な担保責任だけではなく、「瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない(同法第634条第1項)」と規定しています。注文者の契約解除についても、「建物その他の土地の工作物※2)については、この限りでない(同法第635条)」と規定しているのは、建物等の場合、安易に請負契約が解除されると、社会的に大きな損害となる場合があることに基づいて制約を加えています。また、これらの瑕疵が、「注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない(民法第636条)」と、請負人の担保責任を回避しています。但し、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りではありません(同法同条)。
◆民法で双方の立場を保護
 このように、「請負」については民法に規定(第632条~第642条)され、注文者・請負人の双方の立場を保護していますが、注文者は、瑕疵担保できる請負会社(または事業者)か否か等を、そして、請負会社(または事業者)は、瑕疵担保可能な業務か否か等を見極めることが、請負契約のリスク回避または軽減に繋がるものと考えられます。
※1)民法第533条(同時履行の抗弁)の規定を準用。以下、同条文。双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
※2)民法第638条第1項・第2項(請負人の担保責任の存続期間)ご参照。
参考:当「人事総務部」ブログエントリー「適正な請負」、「『告示第37号』は、請負の目安に過ぎません」及び※1)「仕事を『請負う』とは」等ご参照。「不動産用語集(不動産流通研究所編)」不動産流通研究所。