下請法における「第3条書面交付義務」の留意事項について     (請負シリーズ39)

◆親事業者の優越的地位濫用行為を取締まる
 所謂「下請法」※1)は、下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護を目的として制定され、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるための特別法といえます。同法は、(a)取引を委託する親事業者と受注する下請事業者の資本金規模、(b)適用対象となる取引内容、の両面から定義しています。
◆第3条書面事項は「改正規則」にも明記
 改正下請法(第2条)は、従来の「製造委託(4タイプ)」及び「修理委託(2タイプ)」に加え、「情報成果物作成委託(3タイプ)」及び「役務(サービス)提供委託」が新たに取引対象として規定されたのは、すでにご承知のとおりです。尚、「情報成果物」の具体的内容は、同条第6項に規定されていますのでご参照ください。とりわけ、当ブログ記事(08/5/16日付):「下請けは受注時の明確な書面が重要」において、親事業者による下請事業者に対しての書面交付義務(同法第3条)を記載しましたが、同規定に基づき、「同規則」※2)も全部改正され、第3条の書面に掲げる事項について明記(第1条)されていますので留意してください。
◆改正規則に準じた「運用基準」
 また、下請法に関する「運用基準(平成15年12月11日事務総長通達第18号)」も、親事業者の書面交付の義務として「製造委託等をした都度、3条規則第1条第1項に定められた事項(必要記載事項)を3条書面に記載し、交付する必要がある」と記載しています。ここで重要なのは、3条書面に記載する「下請代金の額」です。これは下請事業者の給付(役務提供委託をした場合は、役務の提供)に対し支払うべき代金の額のことで、3条書面には具体的な金額を明確に記載することを原則としています。即ち、当該運用基準は、前掲「3条規則」第1条第2項に「具体的な金額を記載することが困難なやむを得ない事情がある場合には、下請代金の具体的な金額を定めることとなる算定方法を記載することをもって足りる。」との規定に基づき、《この算定方法は、下請代金の額の算定の根拠となる事項が確定すれば、具体的な金額が自動的に確定することとなるもの》でなければならないとしています。
◆算定方法の元となる「時間単価、実績作業時間」
 当該運用基準は、前掲の「具体的な金額を定めることとなる算定方法を記載する」ことが認められる場合の一事例として、《プログラム作成委託において、プログラム作成に従事した技術者の技術水準によってあらかじめ定められている時間単価及び実績作業時間に応じて下請代金の総額が支払われる場合》を挙げています。従って、当事例のような場合は、下請代金の総額が支払われる算定方法の元として認められるものと解釈します。但し、この場合でも、3条規則に従って下請代金の具体的な金額を確定した後は、速やかに下請事業者に通知する必要があるのは変わりませんので留意してください。
※1)『下請代金支払遅延等防止法:昭和31年6月1日法律第120号』最終改正:平成17年7月26日法律第87号。
※2)『下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則』全部改正:平成15年12月11日公正取引委員会規則第7号。
参考:当ブログ記事(09/3/24日付):「『下請かけこみ寺』&下請法勧告状況について」ご参照。