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2009.04.10

所謂「告示第37号」の解釈と「請負」完成のために          (請負シリーズ31)

◆加速が予測される「請負化」
 今回は「請負」について考えます。と言うのは、当ブログ記事(3/19日付):「請負事業主が講ずべき措置等について」で触れましたが、世界同時不況の直撃で「派遣切り」が進行する中、(a)大手メーカーはじめ人材派遣会社各社も業務請負等への「業態転換」を図る動きがあるからです。また、当ブログ記事(4/2)の表題どおり、(b)「緊急避難としての『日本型ワークシェアリング』」からいかに早く脱出できるかが問われるため、今後は「請負化」が加速するものと予測します。
◆誤解・曲解を指摘された「告示第37号」
 当ブログ「請負シリーズ」では、これまで30本のブログ記事で「請負」について一考してきましたが、改めて「請負」を考える事由は、冒頭に記載した(a)及び(b)の他、所謂「告示第37号」※1)について「誤解・曲解が多い」と指摘(国際産業労働調査センター代表:木村大樹氏)されているからです。木村代表は“労働者派遣法生みの親”と言われ当該法制定に携われた方ですが、《告示第37号の解釈をめぐって様々な問題が生じているため、その理解を深めることが必要》との趣旨に基づき、セミナー等の機会を通じて具体的に指摘されていますので、今回「請負」を考察するに当たり、以下にその内容をご紹介します。
◆その「指摘内容」は
 その指摘内容※2)は、《(1)告示第37号は、法律に根拠がなく、行政が勝手に定めたもので、効力がない、(2)告示第37号の要件を満たすことは不可能である、(3)告示第37号は、請負についてのみ規定したものであって、委託の場合には関係ない、(4)一昨年行政が「製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む請負事業主が講ずべき措置に関するガイドライン」というものを発表しているが、これを満たしていれば、告示第37号を満たしていなくても、適法な請負である、などという議論がまかり通っている。(原文のまま。以下同じ。)》です。即ち、前記《 》内の(1)~(4)が主な「誤解・曲解の内容」で、木村代表は《業界団体に正確に理解して、説明するように伝えて欲しいと答えるしかない》と主張されています。
◆「附帯決議」で求められる行政指導等
 前掲の指摘内容に係り、当ブログ記事(08/10/14):「所謂『告示第37号』の請負要件について」において、《行政は、あくまで派遣法に違反する請負形態(発注企業が請負企業の労働者に式命令して「使用」している形態)のみを規制できるに止まるのであって、告示によって請負の形態を限定し、それに該当しないものは実質派遣であるという取扱いは、何ら法的根拠のないものといえる。(原文のまま。)》という某弁護士の指摘※3))をご紹介しました。そもそも「告示」は公の機関が一定の事項を広く一般に公示されたもので、当該弁護士の反論どおり、当該「告示」自体は《何ら法的効力も有しないものと解され》たのです。しかし、当該「告示」の根拠規定は労働者派遣法等に存在しませんが、「附帯決議」※4)により当該「告示」の周知徹底と行政指導が求められることになったのです。
◆「請負要件」として
 請負要件については、当ブログ記事(08/05/01):「請負推進の重要ポイント」で述べていますのでご参照いただきたいのですが、前掲のとおり、「告示」の適否を論じるまでもなく、当該「告示」は労働者派遣事業と請負事業との「区分基準」について具体的判断基準を含めて明示しています。要するに、「請負」と言えるには、(ア)労務管理上の独立性(業務遂行の指示、労働時間の管理、秩序の維持)及び(イ)事業経営上の独立性(資金調達、事業主責任、専門性)のいずれも満たさなければなりません。単に肉体的な労働力を提供するものでないことが大前提であり、機械、資材等を相手方から借り入れるまたは購入された場合等については賃貸者契約(双務契約)を締結する等、業務上の独立性も備える必要があるのです。詳細は、当該「区分基準の具体化、明確化についての考え方」の具体的判断基準でご確認ください。
◆「請負の本質」を備えよ
 当ブログのスタンスは、前掲ブログ記事(08/10/14)のとおり、請負現場では「区分要件」を満たすのを優先せざるを得ず、あくまでも指揮命令を伴わない「請負の実態」が現存することが何よりの対抗要件であり、「請負の証」であるという考えを変えるものではありません。冒頭に記したとおり、企業の「業態転換」や「日本型ワークシェアリング」による緊急避難からの脱出が図られたなら、「請負化」は加速していくことになります。従って、「告示」だから効力が無いと解釈するのは不適であり、その上で請負労働者に対しては、より高度な知識や技能を備えるという「請負の本質」が求められていることを再認識すべきと思います。そして、「請負の本質」を備えることによって、品質及び責任管理を含めた当該業務の完了に対して責任を負うべく「請負」が完成します。そして今、請負化が加速する前に、改めて「請負の本質」を備えることが肝要と考えます。
※1)「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」
※2)「労働者派遣法版歎異抄(労働あ・ら・かると)」労働調査会。『人材ビジネス第24巻第3号通巻272号3月号』(株)オピニオン。
※3)『ものづくりサービス プレ創刊号(労働新聞社編)』(株)労働新聞社。
※4)平成15年5月21日衆議院厚生労働委員会、同旨平成15年6月5日参議院厚生労働委員会。
参考:『新版労働者派遣法の法律実務【上巻】(安西愈著)』労働調査会。『派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(社団法人日本人材派遣協会編著)』(社)財形福祉協会。