製造派遣規制強化なら「請負」の明文化を (請負シリーズ29) 

◆製造派遣労働者数は前年の約2倍
 厚生労働省が過日公表(08/12/26)した「労働者派遣事業の平成19年度事業報告の集計結果について」の数値は一部が訂正※1)され、派遣労働者数は「381万2,353人(対前年比18.7%増)」となりました。その内、製造業務に従事した派遣労働者数は一般労働者派遣事業(40万9,355人)と特定労働者派遣事業(5万7,138人)を合わせ、全体で「46万6,493人(対前年度比95.0%増)」と前年の約2倍に増加し、対派遣労働者数の約12.2%に相当する結果となっています。
◆「09年問題」で「派遣切り」は加速
 これまで労働者派遣法の規制緩和で製造派遣が可能となって以降著しい伸びを示しましたが、大半の製造派遣の「抵触日(3/1)」を経過した現在も所謂「2009年問題」は継続しており、世界同時不況を大義名分として“便乗派遣切り”が起きています。この「09年問題」に対しては、今春から今秋にかけて佳境に臨むものと推測しますが、厚生労働省規制改革会議の「第3次答申」を根拠として、緊急避難措置は無いものと解釈しました。
◆「請負」の根拠を明らかに
 今後、「労働者派遣法改正案」見直しが審議される予定ですが、製造派遣についても規制強化の方向になるものと推察します。ただ、社会問題となった「偽装請負」については当然コンプラを重視しなければなりませんが、単に「偽装請負」対策に止どめることなく、その根拠を明確にする必要があるのではないかと考えます。
◆「請負」は所謂「告示第37号」頼み
 というのは、当ブログ記事(2/4日付)で述べたように、(1)請負事業が法律に規定されていない、(2)「請負」の指導監督を厚生労働省が実施している、という2つの問題点が挙げられます。前者については、「派遣」と「請負」の区分はその具体的判断基準を所謂「告示第37号」に専ら依存しており、労働者派遣法制定後の「告示」のため、請負事業に関する専門の法令が存在しない点に問題があるのです。後者について、「請負」は民法第632条に規定されていますが、広義に商行為を含む点からも経済産業省の管轄となっています。従って、厚労省が派遣法の範疇で実施する指導監督は、本来的に「派遣法違反」の判断しか下せないことに帰結するからです。この点につき、石嵜信憲弁護士は雑誌※2)の特別寄稿で、《一部労働局では、この告示37号があたかも法律の一部であるかのように取扱い、強権的な指導を行っている例が見られるが、これは行政指導の域を超えているものと考え》ていると主張しています。
◆「請負」の明文化を
 ただ現在は、「告示第37号」の請負要件を満たすべく「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目(計14項目):厚生労働省」に規定して指導されていますので、遵守するほかありません。指揮命令を伴わない「請負の実態」が現存することが肝要なのは言うまでもありませんが、「請負の証」を明確にする法律制定と監督官庁の明確化を改めて望むところです。
※2)「ものづくりサービス プレ創刊号(労働新聞社編)」(株)労働新聞社。
参考:※1)厚生労働省公表資料(平成21年1月23日訂正版)。