所謂「告示第37号」の請負要件について (請負シリーズ24)

◆「区分基準」として機能
 「労働者派遣法(昭和60年7月5日法律第88号)」が施行(昭和61年7月1日)されてから22年が経過しました。日雇い派遣原則禁止も盛り込まれた「改正案」に対する議論は、今後の国会審議に委ねられていますが、今回は「請負」について考えます。
 「派遣」と「請負」の区分については、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」が告示されているのは皆様ご承知のとおりで、労働者派遣と請負を明確に区分する具体的判断基準とされてきました。と言うのは、そもそも「請負」は民法第632条に規定されていますが、請負事業に関する専門の法令が存在しないことに因るからです。
◆法的根拠は無い?
 この所謂「告示第37号」について、石嵜信憲弁護士は某誌※1)の特別寄稿で、次のように問題点を指摘しています。それは、《行政は、あくまで派遣法に違反する請負形態(発注企業が請負企業の労働者に指揮命令して「使用」している形態)のみを規制できるに止まるのであって、告示によって請負の形態を限定し、それに該当しないものは実質派遣であるという取扱いは、何ら法的根拠のないものといえる。》と。なぜならば、当該告示が、《法律による委任もなく定められた行政の内部規則にすぎず、何ら法的効力も有しないものと解される。》からだという根拠です。
◆現場は「自主点検項目」を遵守
 実際、請負事業者や請負事業者を活用する事業所においては、「派遣と請負の区分基準に関する自主点検項目:計14項目(厚労省)」に従って、少なくとも点検項目の各要件を完璧に満たしていることが最低条件として対応されてきました。それは即ち、「告示第37号」第2条第1項で(a)労務管理上の独立性を、また、同条第2項では(b)事業経営上の独立性(①経理上の独立性、②法律上の独立性、③業務上の独立性)を規定されているので、それに従った自主点検を遵守しているのです。
◆「請負の実態」が肝要
 敢えて、石嵜信憲弁護士が主張されるのは、《一部労働局では、この告示37号があたかも法律の一部であるかのように取扱い、強権的な指導を行っている例が見られるが、これは行政指導の域を超えているものと考え》ていることに依ります。しかし、「告示第37号」第3条第3項で、「それが法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が法第2条第1号に規定する労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができない。」と規定されている以上、たとえ「告示第37号」が請負の充足要件に過ぎないとしても、請負現場では「区分要件」を満たすのを優先せざるを得ません。勿論、前掲第3条第3項の「偽装請負」に該当する等は論外で、あくまでも指揮命令を伴わない「請負の実態」が現存することが何よりの対抗要件であり、「請負の証」であると考えます。
参考:※1)「ものづくりサービス プレ創刊号(労働新聞社編)」(株)労働新聞社。「派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(社団法人日本人材派遣協会編著)」(社)財形福祉協会。