“外国人庁” 外国人との地域共生を目指す「外国人集住都市」の現状

◆28都市で構成する「外国人集住会議」

 すでに9年前(2001年)になりますが、わが国内の外国人が集住する諸都市において“外国人住民との地域共生”の確立を目指し、地域で顕在化しつつある様々な問題の解決に積極的に取り組んでいくことを目的として「外国人集住会議(09年座長:太田市)」が設立されました。名称に「会議」とありますが、当該組織は南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住する7県にわたる「28の会員都市」※1)で構成(09/7/1現在)されており、必要に応じて首長会議を開催し、国・県及び関係機関への提言や連携した取り組みを検討していく組織です。

◆“外国人庁”設置を要望

 これまで当該組織は、設立当初の『浜松宣言及び提言』をはじめ、『豊田宣言及び部会報告』、『よっかいち宣言』、『みのかも宣言』等の提言を続け、昨年12月に《外国人関連の施策を一元的に担う「外国人庁」の設置等を求める緊急提言(09/12/15日付)》をしました。当該提言は、日本に多くの外国人失業者が留まる現実に対して、《「生活者としてとらえた施策が必要」》との観点から新たに「外国人庁」の設置を求めるものです。その他、《外国人の子供の教育環境を充実させるため、就学の義務化や受け入れる公立学校への財政支援等を求めて》います。

◆「ブラジル人」が過半を占める会員都市

 そこで、会員「28都市」の総人口を見ると約500万人(497万4,418人:09/4/1現在)を擁し、うち外国人登録者数は約22万人(22万1,777人:占率約4.5%)です。外国人登録者の中で最も人口が多いのは「ブラジル人(12万1,874人)」で、その過半(占率:55.0%)を占めています。
 会員都市の「外国人登録者数」を詳しく見ると、飯田市(長野県)を除いて、「ブラジル人」の登録者数がいずれの都市も第1位です。外国人登録者の絶対数が一番多いのは、(1)「浜松市(静岡県)」の3万2,536人で、次に(2)「豊橋市(愛知県):1万9,715人」、そして(3)「豊田市(愛知県):1万6,439人」、(4)「伊勢崎市(群馬県):1万2,102人」、(5)「鈴鹿市(三重県):1万205人」と続きます。また、外国人割合が多い「上位3」の会員都市は、(1)「大泉町(群馬県):16.6%」、(2)「美濃加茂市(岐阜県):10.8%」、(3)「菊川市(静岡県):8.3%」となっています。

◆“派遣切り”に遭遇した会員都市

 これら外国人が集住する「会員都市」は、とりわけ自動車産業等の製造業関連企業が集積している都市という特徴が見られ、まさにこれまで多くの“派遣切り(非正規切り)”に遭遇した地域にほかありません。『非正規労働者の雇止め等の状況について(1月報告:速報)』※2)の調査資料によると、失業者は会員都市の7県で約9万人(90,844人)に上り、全体(25万6,731人)の35.4%を占めています。残念ながら、当該資料では外国人数は判明していませんのでご了承ください。
 当ブログ記事(10/1/12日付):『改正入管法 在留資格「技能実習」の新設で労働関係法令等適用に』では、改正入管法の7月施行予定)で在留資格「技能実習」が発効することを述べましたが、少子高齢社会のわが国が外国人との共存共栄を図っていくためには、前掲の緊急提言の「外国人庁」の設置も将来必要になるのかもしれません。「外国人庁」設置に即断はできませんが、当面は外国人の研修・技能制度等の内容が拡充され、労働環境がより一層整備されることが望まれます。まずは、前掲の「改正入管法」の今夏施行となれば、外国人の「研修・技能実習生」に対して即時、労働関係法令等が適用され、「労働者」としての待遇が求められることになりますので、今から準備する必要があると考えます。
※1)【群馬県】:伊勢崎市、太田市、大泉町、【長野県】:上田市、飯田市、【岐阜県】:大垣市、美濃加茂市、可児市、【静岡県】:浜松市、富士市、磐田市、掛川市、袋井市、湖西市、菊川市、【愛知県】:豊橋市、豊田市、西尾市、小牧市、知立市、【三重県】:津市、四日市市、鈴鹿市、亀山市、伊賀市、【滋賀県】:長浜市、甲賀市、湖南市。掲載は、総務省地方公共団体コード順。
参考:外国人集住会議公表資料。※2)平成22/1/29日付:厚生労働省公表資料。中日新聞記事。