改正独占禁止法の課徴金制度について

◆課徴金制度の見直しは2年前から
 独占禁止法(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」※1)は、公正かつ自由な競争を確保するために不当な取引制限等の一定の行為を排除し、経済の健全な発達を促進することを目的とする法律で、2006年1月4日に施行された「改正独占禁止法」で、課徴金制度が見直されました。
◆昨年度の違反事件処理状況等
 公正取引委員会は、2007年度の独占禁止法違反事件の処理状況を公表(2008年5月)し、違反の疑いがあるとして一般から寄せられた報告は前年度比4割増の約7,300件で、統計のある1998年度以降で最多となりました※2)。排除措置命令は24件(前年度:13件)と大幅増加し、内訳は、「入札談合(14件)」、「価格カルテル(6件:過去10年で最多)」、「不公正な取引方法(3件)」、「事業者団体による構成事業者の活動の不当な制限(1件)」でした。
 課徴金に焦点を当てると、確定した課徴金納付命令は、延べ162事業者に対して約112.9億円で、前年度(延べ158事業者、約92.7億円)を約20億円増え、事業者1社当たりの課徴金額は6,973万円(対前年約119%。前年度:5,863万円)でした。また、課徴金減免制度導入に基づく企業からの自主申告は74件(前年度:79件)と高水準で、法改正の1月以降では合計179件という結果でした。そして、課徴金の免除等を実際に適用したのは延べ37事業者(16事件)と、前年度(延べ16事業者、6事件)を上回り、事業者の名称等が公表されました。
◆課徴金算定率の引上げ
 改正独占禁止法は、課徴金制度の見直しで算定率(商品または役務の売上額に乗ずる率)が大幅に引き上げられており、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が違反を繰り返した場合は、5割加算の算定率が適用されます。例えば、製造業等の大企業の場合は、改正後10%の算定率に基づき15%が適用され、課徴金と罰金が併せて科される場合は、罰金の半分相当額が課徴金から控除されるという調整がなされます。
◆減免には、自らの違反行為の報告が必要
 課徴金減免制度は、事業者が自ら関与したカルテル・談合(購入カルテルを含む)について、その違反内容を公正取引委員会に報告した場合に課徴金が減免される制度で、公正取引委員会が立入検査を行う前に早期に報告するほど、課徴金の減免額が大きくなります。例えば、立入検査前の1番目の申請者は課徴金が免除され、同2番目の申請者は課徴金が50%減額される等、合計3社まで課徴金が減免されます。但し、違反行為の報告または提出した資料が虚偽のものであった場合や、他の事業者に違反行為を強要し、または、違反行為をやめることを妨害していた場合には、課徴金の減免対象から除外される旨が規定されています。このように課徴金減免制度が設けられましたが、根本的には、コンプライアンスに則ったコーポレートガバナンスが最も求められているのではないでしょうか。
※1)改正:平成18年12月15日法律第109号(施行:平成19年9月30日)。
参考:「平成19年度における独占禁止法違反事件の処理状況について(概要)」平成20年5月21日付公正取引委員会公表資料。※2)2008年5月22日付日本経済新聞朝刊。