「EPA」に基づく外国人就労の受入態勢について

◆インドネシアとの「EPA」発効
 わが国がインドネシアからの輸入で最も多くを占めるのは、天然ガス・原油・石炭の鉱物性燃料(49.8%:2006年財務省統計)で、原料品(非鉄金属等19.5%:左記同)が第二位に続きます。このような資源豊富なインドネシアと経済連携強化に向けた取組み交渉が3年前から開始され、今年7月1日に「EPA(Economic Partnership Agreement)」※1)が発効したところです。
 この「EPA」に対するわが国の基本方針は、「今後の経済連携協定の推進についての基本方針(平成16年12月21日。経済連携促進関係閣僚会議決定)」で明らかにされましたが、ポイントは、①東アジアを中心に展開し、次に域外主要国。また、②モノの貿易(関税撤廃)をはじめ、投資ルール(投資保護や外資規制の緩和等の自由化)、サービス貿易の自由化、人の移動(専門家・技術的職種での就労や短期滞在条件の緩和)、政府調達(無差別原則・透明性)、知的財産権の保護、競争政策、ビジネス環境整備(問題解決メカニズム)、様々な分野における二国間協力等を含む包括的なEPAの推進に立脚しています。今回の受入れは、これまでわが国として労働者の受入れを認めてこなかった分野において、二国間の「EPA」に基づき公的な枠組みで初めて受入れを行う点で注目されています。
◆目標受入者数は1,000人
 そしてこの度、国際厚生事業団(厚生労働省外郭団体)を唯一の斡旋機関として、インドネシアの看護師・介護福祉士候補者(合計:208人)の受入れが確定しましたが、わが国は、インドネシアからこの2年間で最大1,000人(看護師候補400人、介護福祉士候補600人)を受入れる方針ですが、日本の医療機関の受け入れ基準が厳しく、インドネシアの医療レベルがアジア諸国の中でも低いことから、実際の受入者数(前掲)は、両国政府が想定した初年度枠500人(看護師200人、介護福祉士300人)に対して約4割と、大幅に下回る結果になりました。
◆今後の受入態勢を万全に
 当該候補者は8月7日に来日予定で、今後、半年間の日本語研修を受けた後、実際に34都府県に所在する計100施設の法人(病院・老人ホーム)と雇用契約を結び、助手として働きながら技能習得と勉学に励むことになるのです。しかし、残された2年半(看護職)~3年半(介護職)の滞在期間に看護師・介護福祉士の国家試験に合格できなければ帰国しなくてはならないという厳しい条件下にあり、現況から推測すると、有能な人材確保は難航を極めるのではないかと懸念されます。外国人労働者への門戸開放は大いに意義深いことですが、高度な知識や技術を求めた就労だけに、安価で単なる肉体労働者として扱われることのないよう労働環境が整備され、今後の外国人労働者受入態勢が確立されることを期待します。
※1)EPA(経済連携協定):特定の二国間又は複数国間で、域内の貿易・投資の自由化・円滑化を促進し、水際及び国内の規制の撤廃や各種経済制度の調和等、幅広い経済関係の強化を目的とする協定。
参考:「日本の経済連携協定(EPA)交渉- 現状と課題 -(平成20年7月)」外務省経済局資料。「~日・インドネシア経済連携協定に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の適正な受入れについて~」厚生労働省資料。47NEWS。