あなたは「裁判員」辞退希望派?

◆施行日まであと約10ヶ月
 皆様ご承知のとおり、2009年5月21日から施行予定の「裁判員制度」は、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年5月28日法律第63号)」※1)に基づき、司法制度改革の一つとして、「個人の尊重を基礎に独創性と活力に充ち、国際社会の発展に寄与する開かれた社会」の構築を目指すのが導入の理念です。すでにマスコミ報道や模擬裁判等の機会を通じて周知は進行中ですが、当ブログでの制度内容の詳細説明は、一部に留める点をあらかじめご了承ください。
◆対象事件数は約3%
 まず、過去のデータから「裁判員制度対象事件数」※2)をみると、平成18年は3,111件で、これは全国の地方裁判所における刑事通常事件(第一審)の事件数(10万6,016件)に対して2.9%の占率で、対象件数は比較的少ないのがわかります。因みに、同年以前の過去3年間(平成15年~同17年)は、各年とも3.3%と同率です。
◆「強盗致傷」が第一位
 次に、前掲の対象事件数を「罪名別」に4年間(平成15年~同18年)のデータをみると、①「強盗致傷」、②「殺人」、③「現住建造物等放火」の順に多く、①~③各々の4年間平均件数占率は、①29.8%、②20.5%、③9.8%で、事件数が全体的に減少傾向の中、各年とも「強盗致傷」が第一位を占めており、従って、冒頭に挙げた本法適用の刑事裁判において、裁判員は必然的に重大犯罪事件の審判に係ることになります。
◆重大犯罪事件は、大都市地域に集中
 また、同事件数データについて、「地方裁判所件数別」に同4年間の平均件数をみると、①「東京地裁(420件)」、②「大阪地裁(357件)」、③「千葉地裁(269件)」、④「名古屋地裁(257件)」、⑤「横浜地裁(221件)」の順で多く、いずれも年間平均件数200件以上の地裁です。そして、対象事件件数の大半は、これら地裁の管轄より、大都市地域に集中しているのがわかります。
◆規定されている辞退事由
 最後に、裁判員選任については、20歳以上の有権者の中から、毎年1回抽選で裁判員候補者が選ばれ、「裁判員候補者名簿」に記載され、事前に「呼出状」が届くという段取りです。法律に馴染みの無い人にとっては、単純に回避したいという個人的感情から、所謂「召集令状」のように受け止められている嫌いがあり、さまざまな辞退事由を想定されているようです。しかし、例えば、70歳以上の高齢者であること、常時通学課程に在学する学生または生徒であること、重い疾病または傷害により裁判所に出頭することが困難な人、父母の葬式への出席がある等々、正当な理由がないと辞退は認められません(同法第16条)。呼出しを受けた裁判員候補者が、正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の過料に処せられます(同法第112条)ので、裁判員に選ばれることは新たな国民の義務として覚悟しなければなりません。長年、法律専門職に就かれた元労働基準局長は、某法律ブログのエピローグで、「裁判員は絶対にやりたくない。やらない。」と断言しておられますが、蛇足ながら、私見を申し上げれば、過去に刑法を専攻既習したこともあり、是非とも「裁判員召集令状」をいただきたいと期待している一人です。
※1)2004年5月21日成立。最終改正:平成19年11月30日法律第124号。
※2)同一被告人につき複数の起訴があった場合、起訴ごとにそれぞれ1件として計上。
参考:「裁判員制度の概要」法務省刑事局資料。「裁判員制度がよ~くわかる本(「開かれた裁判制度」研究会著。日本弁護士連合会編集協力)」(株)秀和システム。