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2008.06.06

「環境と共生」する労働環境をめざして

◆「G8」は、すでに始まっていた
 いよいよ「G8サミット」開催が目前に迫りました。流行語をかりれば、個人的には、「そんなの関係ねぇ」と言われるかもしれませんが、これが意外と個人にも関係があるのです。皆様ご承知のとおり、当サミットは、8ヵ国(日・米・英・露・仏・独・加・伊)の首脳及びEU(欧州連合)の委員長が参加して毎年開催される国際会議で、今年は7月7日から3日間の日程で開催される「北海道洞爺湖サミット」です。日本での開催※1)は今回で5回目に当たり、過去の開催テーマをみると、インフレ対応等の経済問題やエネルギーに関係するテーマが目立ちますが、今回の主要テーマは「地球温暖化」で、環境重視の日本を世界にアピールします。しかし、もうすでにサミットは3月中旬※2)から始まっており、6月下旬まで約4ヶ月にわたって開催されます。従って、「G8」は、すでに始まっていたと言うのは、「北海道洞爺湖サミット」は首脳会合で、その前に開催される労働相会合や環境相会合等の関連会合を含めた全体が、広義の「サミット」と呼ばれているからです。
◆めざすは、「グリーン・ジョブ」
 今回注目するのは、関連会合の「G8労働相会合(5月11日~13日開催:新潟市)」で、首脳会合のテーマである地球温暖化の要因となる温室効果ガス削減については勿論のこと、世界的な貧富の差、「ワーク・ライフ・バランス(仕事生活の調和)」等について議論されました。つまり、G8各国の経済・生活は平均としては高水準だが、反面、生活・賃金水準や格差解消が課題で、個別の労働者一人ひとりに着目した対応が必要という合意がなされました。従って、労働市場・雇用政策の使命は、労働弱者や雇用情勢の悪い地域への支援であり、持続可能な社会を実現するためには、経済的発展、社会的発展、環境保護の3要素を柱とし、「グリーン・ジョブ・イニシャティブ(ILO)」に注目し、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の推進等のもと、環境問題に対応した労働政策の遂行がG8の枠組みで初めて取り上げられました※3)。
 持続可能な労働市場、労働環境の保護を促進していくとは、換言すれば、省エネルギー住宅や太陽光・風力発電等のようにエネルギー効率を上昇させると、新事業が成長して雇用が創出されるという概念で、前記の「グリーン・ジョブ構想」※4)に注目し、定着を図る考えです。当構想に関連し、「貧困削減のための地方雇用の促進」等を主な議題として、この5月28日から、スイス(ジュネーブ)で「第97回ILO総会(加盟181ヵ国。年1回)」が開催(6/13まで)されているところです。
◆「環境と共生」する雇用
 前掲の関連会合「G20(千葉市)」では、気候変動やクリーンエネルギー等が議論された訳ですが、これも同様な考え方に基づき、地球温暖化の不自然な気候変動は、人間の活動が引き起こしているのだという反省の下、脱炭素経済の推進や廃棄物と公害の発生回避・極小化を支援する雇用がグリーン・ジョブといえるのです。わが国で言えば、社会問題化している「ワーキングプア」然りで、「環境と雇用拡大の両立」をめざし、今後は、非正規雇用労働者を支援すべく待遇改善策が図られることになります。その場合でも、排気ガス規制のように、単純に規制強化を図れば良いというものでなく、「環境との共生」を可能とする施策であることが望まれます。そして、冒頭で、一瞬でも「そんなの関係ねぇ」と思われた方は、今後の「国際会議」を見る目が変わられたのではないかと期待しています。
※1)東京サミット(1979・1986・1993年)、九州・沖縄サミット(2000年)。
※2)①G20(気候変動・クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚対話):千葉市。②開発相会合(4月:東京)。③労働相会合(5月:新潟市)。④環境相会合(5月:神戸市)。⑤第4回アフリカ開発会議(TICAD。5月:横浜市)。⑥エネルギー相会合(6月:青森市)。⑦内務・司法相会合(6月:東京都)。⑧財務相会合(6月:大阪市)。⑨外相会合(6月:京都市)。
※3)「新潟宣言」(全文:原文のまま):政府、使用者、労働者は成長、雇用、生産性及び環境問題の相互のバランスをとるために協力する必要がある。職場レベルの社会対話、社会協力はこの目的に向けた重要な寄与となる。この活動を促進することが、我々の「新潟宣言」である。
※4)環境に対する影響を持続可能な水準まで減じる経済的に存立可能な雇用と定義。
参考:「2008年G8労働大臣会合(新潟会合)開催結果報告について(平成20年5月13日)」厚生労働省国際課資料。「第97回ILO総会の開催について(平成20年5月9日)」厚生労働省大臣官房国際課公表資料。「ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説(2008年3月31日付第70号)」国際労働機関駐日事務所資料。