フリーターは、自立できるか

◆若者の懸念事項とは
 国は2005年から人口減少に転じたのを節目に、2030年における人口減少社会の到来を見据え、「雇用・生活の安定」の確保を目指し、当面5年間を目処に取り組むべき雇用政策の方向性を示した「雇用政策基本方針」※1)を告示しました。
 当方針によると、労働市場を取り巻く変化について、企業側は、人件費の変動費化や将来の不確実性の対応のため、外部人材を含む正社員以外の者を活用することで、正社員の割合が低下している点を、他方、労働者側は、パート、派遣、契約社員等といった多様な雇用形態の増加が目立ち、2006年においては、雇用者全体の約3割を占めるに至った点を著しい変化と捉えています。こうした変化の中で、フリーター(含むニート)の数は、217万人(平成15年)をピークに、187万人(平成18年)、181万人(平成19年)と減少するものの、改善の動きは鈍く、正社員となることを希望しても就職が困難な状況にあります。さらに、日雇派遣労働者については、雇用の不安定さや職業能力の蓄積不足といった点が懸念され、これらを背景に、若者の間には、所得格差の拡大や格差の固定化、未婚化による少子化の加速が懸念されていると指摘しています。
◆「新雇用戦略」は、3年間を集中重点
 これを受け、雇用対策法※2)の規定に基づき、「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」※3)が適用(平成19年10月1日)され、若者の応募機会の拡大等について、事業主への周知・啓発、指導が展開されてきましたが、この度、今後3年間を集中重点期間として、若者・女性・高齢者・障害者等、「全員参加の社会」の実現を目指して、雇用対策を盛り込んだ「新雇用戦略(案)」※4)が提示されました。
 以下では、その内の「若者の自立の実現」に向けた雇用対策に関する一部をご紹介します。その目標は、次の4点です。①若者(25~34歳)男性の就業率を、91.0%(07年度)から2010年に92~93%。②フリーター数を、181万人(同年度)から2010年までに170万人。③「ジョブ・カード」※5)取得者数を、2010年度までに若者を含め50万人。④地域若者サポートステーションによるニート等の進路決定者割合を、24.8%(06年7月~08年2月実績)から2010年度に30%。まとめると、就職氷河期に正社員になれなかった年長フリーター(25~34歳)及び30代後半の不安定就労者を重点に就職支援を集中的に実施するという方針(「フリーター等正規雇用化プラン(仮称)の推進」)で、今年度創設の「ジョブ・カード制度」の活用により、ニート等の自立支援の充実を図るという計画です。フリーター数は、実数で11万人減少が目標ですが、この3年間で100万人の正規雇用化実現を目指しています。
◆日雇派遣の自主ルール制定
 現実問題として、ニートを含むフリーター層の労働者は、前記の懸念事項を事由に、所謂「ワーキングプア」の温床と批判されている日雇派遣労働者でもある訳で、最近の人材派遣企業の不祥事発生による不信感を除去する狙いとコンプライアンスの徹底を図るため、業界団体が初の自主ルールを制定(社団法人日本人材派遣協会:790社加盟)しました。自主ルールの内容は、①派遣労働者の賃金から法令で認められているもの以外は一切控除しないこと。②派遣料金の仕組みについて派遣労働者に説明すること。③意図的な1日単位の細切れ契約は行わず、派遣労働者の希望に応じて可能な限り長期契約を確保するよう努力すること等が明文化されました。また、法令遵守しない企業には協会が調査を実施し、改善しない場合は企業名を公表する方針です。
 このように、官民挙げてフリーター等の雇用対策が図られますが、肝心なのは、フリーター層の個々人が働く意欲を持ち、職業能力の不足をいかに向上させていけるかに懸かっているのではないかと考えられます。
※2)昭和41年法律第132号。
※3)平成19年8月3日厚生労働省告示第275号。
※5)当「人事総務部」ブログエントリー「『ジョブ・カード制度』計画について」ご参照。
参考:※1)平成20年2月29日厚生労働省告示第40号。※4)「『新雇用戦略』について(舛添臨時議員提出資料)平成20年4月23日」平成20年5月9日。第8回社会保障審議会少子化対策特別部会資料4。「平成20年度事業計画」社)日本人材派遣協会。各社新聞報道記事(日本経済・朝日・毎日・産経等)。