生活困窮者 緊急雇用対策本部 実効性有る緊急雇用対策を

◆生活困窮の大量失業者
 時の経過は早いもので、約1年前の当ブログ記事(08/12/22日付)を振り返ると、『大量失業の非正規労働者を守れるか』について述べており、当時の野党が《失業者の住宅貸与等に係る「雇用関係4法案」を参議院で強行採決(12/18)した》等の記事内容でした。
 現在は政権交代により政界も様変わりしましたが、過日、厚生労働省が公表した「非正規労働者の雇止め等の状況(10月報告:速報)」※1)によると、《派遣又は請負契約の期間満了、中途解除による雇用調整及び有期契約の非正規労働者の期間満了、解雇による雇用調整について、昨年10月から本年12月までに実施済み又は実施予定(10/21時点)》の者は、全国で24万4,308人(前回報告比:5,556人増)、うち派遣社員は14万3,249人(占率:58.6%)でした。
 実際、ホームレスを含む失業者の日常は、未だ満たされない生活が続いているようです。所謂「派遣切り(非正規切り)」に遭遇して職も住居も喪失したホームレスの所持金は皆無に等しい状況で、警視庁によると、とりわけ東京都内では《不況の影響で後先を考えず犯行に及ぶ「生活困窮型」のコンビニ強盗が急増している》との傾向です。また、筆者は今でも、某役所の業務開始時刻前から「生活保護」の申請手続きを役所玄関で待ち、午後は「炊き出し配給」に行列をつくる失業者の光景を目の当たりにします。まさに、前記ブログ記事のタイトルのとおり、“大量失業の非正規労働者を守りきれなかった”という現実が窺われます。
◆雇用喪失は“先進国の自動車産業で顕著”だった
 ILO本部開催の会議(09/10/20・21)の報告書によると、《派遣労働者は金融・経済危機によって真っ先に職を失ったグループの一つ》であり、《派遣労働者の雇用喪失が最大だったのは先進国の製造部門で、自動車産業で特に顕著》であったと分析されました。これは、前掲の「厚労省速報」データ※1)が示すとおり、わが国の場合は当該調査開始以来、自動車産業が集積する「愛知県(同速報値:40,690人)」が突出し、不動の「第1位」が続いている事実からすると、妥当な分析結果と言えるのではないでしょうか。
 因みに、ILOの当該会議は「1997年の民間職業仲介事業所条約(第181号)批准促進ワークショップ」で、その第181号条約は、「民間職業仲介事業所のサービスを利用する労働者の保護と共に民間職業仲介事業所の運営を認めるに当っての枠組みを規定」したものです。そして、当該報告書は、《派遣労働に関する国内規制がフレクシキュリティー(安全保障を伴う柔軟性)※2)の概念を基礎とし続けることの確保、派遣先を解雇された労働者の速やかな転職支援、コスト削減や効率性計画を通じた事業閉鎖の拡大阻止などといったいくつかの課題解決に取り組んで初めて、これらの方策は功を奏するだろう》としています。
◆実効性有る緊急雇用対策を望む
 現在、新連立政権下で「緊急雇用対策本部」が立ち上げられましたが、その具体的な対策は、(1)「緊急的な支援措置」、(2)「緊急雇用創造プログラム」が挙げられます。そして、政府の「貧困・困窮者支援チーム」の会合(10/29:第1回)が開催され、《「派遣切り」などで仕事や住まいを失った人たちの対策に取り組む》とのことです。当該チームの事務局長は、昨年末の「派遣村」村長の湯浅誠氏(「反貧困ネットワーク」事務局長)が務め、また、同氏は「内閣府参与(非常勤)」にも任命(10/26日付)されました。冒頭から記載のとおり、現在の大量失業者の存在を踏まえ、年末に再度“派遣村”を開村しない対策に止どまることなく、求職中の貧困・困窮者等に対する「ワンストップサービス」の継続と、転職支援として“実効性有る実践的な研修及び訓練の早期実施”を期待するところです。
※2)本文中の「フレクシキュリティー」は、下記公表資料の文言どおり記載。「フレキシキュリティ法(Flexiculity。1998年。蘭)」のこと。当ブログ記事(08/12/22日付)ご参照。
参考:※1)平成21年10月30日付:厚生労働省職業安定局公表資料。ILO(国際労働機関)駐日事務所公表資料。