喫煙者に送る「世界禁煙デー」の新聞広告記事

◆本当に「自分には関係無い記事」なのか
 唐突に“喫煙”の話題の上、少し遡及して恐縮ですが、毎年5月31日が「世界禁煙デー(WHO:世界保健機関)」ということを当日の新聞記事※1)で知りました。当該記事は、「2009年世界禁煙デー特別企画(座談会:“たばこから身を守る”)」の全面広告です。まず、個人的に想像したのは、どれだけ多くの新聞読者がこの記事に目を留めたのだろうかということです。と言うのは、非喫煙者は当然喫煙しないので「自分には関係無い記事」と思い、また、ヘビースモーカーや喫煙をやめる意思の無い喫煙者も「自分には関係無い記事」という思いが瞬時に頭の中をよぎったのではないか、と私自身が勝手に想像したからに過ぎません。
◆押し寄せる「分煙・禁煙」の大波
 さて、この7月1日から《関西の大手私鉄は全251駅で全面禁煙を始めた》とマスコミ報道されました。首都圏等、他の地方と比べると関西の実施は遅れていますが、これで公共交通機関の禁煙は全国展開され、今や、公共交通機関のみならず、愛煙家に対する「分煙・禁煙」の大波は、身近な日常生活空間に押し迫って来ている今日です。かつて、喫煙者が各家庭において“ホタル族”と言われた時代を懐かしく思い出しますが、現在は大都市駅周辺の「路上喫煙禁止区域」での喫煙は「過料(2,000円~1万円)」対象となっており、また、会社屋外や各家庭のベランダや台所換気扇前等に追いやられている現実を見ると、ただただ悲哀を感じる次第です。オバマ大統領の《「私も10代で始めた一人で、禁煙がいかに難しいかを知っている。時々はたばこを吸ってしまう。一度ついた喫煙習慣をやめるのはつらい。」》等の告白(6/23)を聞くと、喫煙者は身勝手に安心感を覚え、自分を宥めてしまうのではないかと邪推します。
◆「受動喫煙防止」はすでに常識
 偉そうに述べる私は、禁煙意思を持ち合わせない喫煙者の一人として共感してしまいますが、現代は喫煙者の健康が日々蝕まれていくことを心配する以上に“受動喫煙による健康への悪影響”がより一層懸念され、すでに施行されている「健康増進法」※2)に基づいて世の中は動いています。即ち、同法第25条で「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定され、喫煙者の意にかかわらず、受動喫煙防止は粛々と展開されている現実です。
◆実は“ニコチン依存症という病気”
 そしてこの度、《オバマ大統領が「たばこ規制法案」に署名し、同法が成立(6/22)》したことにより、《包装の半分以上をたばこの危険性を警告する説明に充てるよう義務づけ、風味などの添加や、たばこ会社が娯楽イベント等のスポンサーになることも禁じ》られることになったのです。わが国もすでに「たばこ規制枠組み条約(2005年発効)」に従ってたばこの箱に、「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。(その他の文面は省略)」等の“警告文(計3面)”が印刷されていますが、WHOは、冒頭に挙げた今年の「世界禁煙デー」を契機に、全加盟国政府に対して《たばこの箱にヤニで黒ずんだ肺や歯などの写真を印刷することをメーカーに促すよう要請した》との報道です。近い将来、わが国内でも実施されたとしたならば、もうパッケージデザインの良し悪しを問う余地もありません。誰が見ても“気持ち悪い”と思うだけです。最もそれが本来の狙いでしょうが・・。果たして、その「気持ち悪い写真」とたばこの「値上げ」とでは、いずれが「禁煙実現」への効果が有るでしょうか?
 何はともあれ“健康第一”の精神で臨むことが肝要で、その禁煙実現の効果を考える前に、まずは“百害あって一利なし”と言われる喫煙による健康問題について、冒頭で紹介した新聞記事をじっくりと読んでみられてはどうでしょうか。但し、その新聞記事の座談会で《禁煙が難しい方は、必ずしも意志が弱いわけではありません。医学的には、ニコチン依存症という病気ですから、治療が必要なのです。》と北村諭病院長(南栃木病院)が述べられていることを肝に銘じてください。“では、その新聞を読む前に、まず一服!”って?“ダメだ、こりゃ!”。
※1)日本経済新聞。当該広告の企画・制作は日本経済新聞社クロスメディア営業局。
※2)平成14年8月2日法律第103号。最終改正:平成20年6月18日法律第73号。
(註)尚、当該新聞広告記事に関し、弊社は全く利害関係が無いことを念の為お断りしておきます。
参考:日本経済・読売各紙記事。