★“家畜伝染病(口蹄疫)問題”で直面したわが国のリスク管理態勢

◆宮崎県内に“残された種牛は5頭”

 現在、わが国内では、宮崎県内で過日発生した“家畜伝染病(口蹄疫:コウテイエキ)問題”の渦中で、国を挙げて一大事であると「当ブログ記事」※1)で取り上げました。そして、当該伝染病の感染状況については、日々刻々とマスコミ報道されています。
 「口蹄疫」発症現場から種牛6頭が早々と隔離されたにも拘らず、その内1頭の感染が認められ、戦々恐々とした事態です。その上、飼育現地から「種牛49頭」について経過観察の要望を受けた宮崎県知事が政府に懇願したのですが、例外は認められないとして殺処分される方針(5/24)となりました。しかし、当ブログ記事執筆の間にも、「種牛49頭」のうち2頭に「口蹄疫」感染が判明してしまいましたが、隔離して残された「種牛5頭」の「陰性」が確認(5/30)されたのは何よりもの救いでした。

◆可決成立、即日施行された「特別措置法案」

 この「殺処分」について、「家畜伝染病予防法」※2)第16条(と殺の義務)」は、口蹄疫の「患畜」※3)や「擬似患畜」※4)の《家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。》と規定(同条第1項第1号及び第2号)しています。しかし、今回の「口蹄疫」問題に対応するため、「特別措置法案」が衆院(5/27)及び参院(5/28)の両本会議で可決成立、即日施行され、《感染していない家畜でも農相の判断で強制的に殺処分が可能》となりました。

◆抗原検出したのは“独立行政法人の研究所”

 当該問題を遡及して見ると、発症牛は「抗原検出検査(ELISA法)」の結果、「血清型O型」の口蹄疫と確定されたのですが、この検査を担ったのが「独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所」です。当該研究機構は、過日実施された「事業仕分け第2弾(前半:4/27)」で、農業・食品産業技術総合研究等に係る4つの業務※5)について「事業廃止」のWG評価結果を受けた独立行政法人のひとつです。但し、「事業廃止」のWG評価結果となった当該4業務は、今回の家畜伝染病に直接関係する業務ではなかった点は救われたのではないでしょうか。

◆“「遺伝子検査」を九州でできないか”という願望

 ただ、傍目八目で疑問視したのは、最初に病性鑑定された検査材料が、前記「動物衛生研究所」の遠隔地(「海外病研究施設」:東京都小平市)に送付依頼しなければならなかった点です。ウイルスは海外から侵入してきたのではないかと見られていますが、同研究所は、宮崎県よりも肉用牛の飼育頭数が多い鹿児島県(全国第2位)内に「九州支所(鹿児島市)」が存在しますので、“同支所で「遺伝子検査(PCR検査)」ができなかったものであろうか”と、率直に素朴な疑問を感じた訳です。
 因みに、同研究所のサイト情報では、《九州支所は、西南暖地および亜熱帯地域における病気の診断と予防法の開発・研究を担っています。》と明記されています。勿論、今回の最初の発症による「PCR検査結果(陽性)」は、「口蹄疫」疑義の翌日(4/20)に判明し、前記「海外病研究施設」から現地宮崎県に連絡されたのは迅速であったと思いますが、あくまで素人発想に基づく疑問に対して解決可能であるならば、“今後は、肉用牛の特産地により身近な場所(研究施設)で検査等の対応ができないか”という願望を抱いた次第です。

◆わが国の“ブランド牛を守る”リスク管理態勢を
 わが国が誇る“ブランド牛”は今後も堅持していかなければなりませんので、肉用牛の飼育頭数が全国第1位の「北海道」をはじめ、「鹿児島県(同2位)」、「宮崎県(同3位)」から子牛を受け入れている他の都道府県にまで波及する重大問題と捉えます。前掲のとおり、「特別措置法」は即日施行(5/28)されましたが、“今後のリスク管理態勢”はわが国に与えられた喫緊の課題と考えます。
※1)当ブログ記事(10/5/21日付)
 :『“上海万博” 「知的財産権」侵害に対処するわが国の現状について』
※2)昭和26年5月31日法律第166号。最終改正:平成17年10月21日法律第102号。
※3)《家畜伝染病(腐蛆病を除く。)にかかつている家畜》をいう。
※4)《患畜である疑いがある家畜及び牛疫、牛肺疫、口蹄疫、狂犬病、鼻疽又はアフリカ豚コレラの病原体に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう。》
※5)(1)試験及び研究並びに調査。農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発。(2)試験及び研究並びに調査。地域資源を活用した豊かな農村環境の形成・管理技術の開発。(3)試験及び研究並びに調査。農業・農村の持つやすらぎ機能や教育機能等の社会学的解明。(4)教授業務。
参考:内閣府行政刷新会議公表資料。農林水産省公表資料。独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構公表資料。宮崎県農政水産部公表資料。