郵政民営化後のサービス態勢について

◆公表された「郵政民営化に関する意見書」
 メディア報道で皆様ご承知のとおり、この度、政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)によって「郵政民営化に関する意見書」※1)がまとめられ、郵政民営化本部長(麻生首相)に提出(3/13)されました。この「意見書」の提出は、「郵政民営化法(平成17年法律第97号)」の所掌事務(同法第19条第1項第1号)※2)で、《民営化委員会は、この法律の規定により意見を述べたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。(同条第2項)》等と規定されていることに基づいています。
◆指摘された問題点
 ここで、郵政民営化そもそも論を述べる考えはありませんが、これまでの郵政民営化の進捗状況の検証に相当する冒頭の「意見書」を見ると、「具体的な意見」の項目で、《民営化後、郵便局における利用者への一元的な対応が損なわれたとの批判が多く寄せられている。》と記されています。本文は続けて、《具体的には、配達途中の郵便外務員に貯金の依頼等ができなくなった、~(中略)~年賀はがき販売等での郵便事業株式会社と郵便局会社の営業協力が欠如している》等々が挙げられています。
 前者は、日本郵政公社時代までは、一人の郵便局員が郵便、貯金、保険の三事業すべてを行うことが可能でしたが、民営化後は郵便物等の配達は郵便事業会社の業務となったので、三事業のサービス提供が困難となったという所謂「総合担務問題」で、これはむしろ、地方町村等で顕著な意見かと思います。後者については、昨年末の年賀状販売態勢を振り返ると、社員に対してノルマと化したのではないかと邪推しました。と言うのは、大量の新品年賀状が金券ショップで割引販売されていたという事実をマスコミ報道で確認したことに因ります。民営化できたというには、単に分業しましたとか、ノルマ化による猛販で実績を挙げる等の発想だけでは、今後の進展は懸念されます。
◆廃止された「配達記録」
 ところで、当ブログ読者の皆様は「配達記録」が廃止(2/28)されたことをご存知でしたか?それに代わるのは、既存の「簡易書留」と3/1新設の「特定記録」です。IT時代で手紙離れの今日ですから、日頃ご利用される機会も少ないかもしれません。この度、「簡易書留」は値下げ(350円⇒300円)され、「特定記録(160円)」は受取人の郵便受け箱に配達する郵便で、損害賠償は無く、受け取りの際の押印や署名は不要です。しかし、「特定記録」で不都合の場合等は必然的に「簡易書留」を利用せざるを得ず、従前の「配達記録」と比較すると、利用者は実質出費増で値上げされたと同様の事態に帰結しています。
◆必要なのは「民間企業としての意識改革」
 冒頭の「意見書」について、唐突に個人的不満を述べたようになり誠に恐縮ですが、実際のところは、「配達記録」が廃止となる前月に、私自身はすでに廃止されたと誤解し、某中央郵便局窓口でその代替を尋ねたところ、郵便局員から「配達記録の実施(廃止)は延期になりました。今後の実施時期はわかりません。」と回答されたのです。個人的に郵便局窓口へ月間2~4回程度訪れる私はこの有様ですが、郵便引受物数が減少している今日、一民間企業として利用者への周知徹底はサービスの一環として重要事項ではないでしょうか。そして今、郵便局員の意識改革が最も必要なのではないかと痛感した次第です。そして、4分社体制見直し議論等云々以前に、郵政民営化の実施に際して課題とされた(1)国民の利便の向上、(2)事業価値の向上、(3)民間秩序への整合的一体化について、どこまで推進されたかは今後も問われることになると思います。
※2)3年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
参考:※1)「郵政民営化の進捗状況についての総合的な見直しに関する郵政民営化委員会の意見について(意見)」閣郵委第14号平成21年3月13日:郵政民営化委員会。日本郵便グループ公表資料。