大量失業の非正規労働者を守れるか

◆ある非正規労働者の生活実態
 過日のメディア報道で、「派遣切り」された非正規労働者の厳しい日常生活を視聴しました。本人の所持金は790円しかなく、数度の転職で健康保険や雇用保険は未加入でした。そのため、医療費は全額負担となるので病院にも行けず、今年の10月からホームレスになったという現実です。首都圏で生活する所謂「ワーキングプア」然り、所持金が少ないので電車にも乗れず、「遠距離でも徒歩」が彼らの常識です。ただ、非正規労働者は、自由生活を望む人もいるフリーター層とは事情を異にし、突然の「派遣切り」による失業で窮地に追い込まれています。某大都市で契約解除になった派遣社員は、所持金9円で2日間水だけの生活に耐え切れず、強盗未遂で自首したという事件も起きてしまいました。
◆「フレキシキュリティ法(蘭)」
 また、当該特別番組では、オランダが選択した「フレキシキュリティ法(Flexiculity。1998年)」が紹介されました。オランダでは、当法成立の3年前に、「社会保障が与えられなければ派遣業を規制する」として社会保障の充実化を図り、フレキシビリティ(Flexibility)な雇用調整等と社会保障等のセキュリティ(Security)を合体させ、労働市場の流動性と社会保障の双方を追及した法律ができたのです。但し、所得税及び社会保険料の合計は、日本の約2倍ということです。当ブログでは、当法詳細説明を割愛しますが、雇用調整と社会保障のバランスは肝要と思います。
◆非正規労働者への「投資」
 当該特番の出席者は、オランダのような環境を作るには、高負担のもとに高福祉があり、結局、消費税アップの必要性を説いていたのに対し、今後の消費税アップの前に、これまでの消費税の経過をどう反省してくれるのかという詰問もありました。また別の出席者は、企業はこれまで対症療法的であったが、今後は新しい仕事・産業の創出が必要であると。そして、非正規労働者に対する教育を含む「投資」はこれまで十分だったとは言えないが、今後は企業の基盤である「人」への投資が必要であり、個人と企業の協力態勢が肝要と結んでいました。実際、非正規労働者のスキルアップが期待されての「投資」という趣旨と思います。
◆求められるのはスピード
 労働者派遣法改正案の成立は、結局、今国会の会期末までに間に合わず、来年の通常国会(1/5召集)での成立を待つことになりました。この世界金融危機直撃の影響で、「派遣切り」の渦中にある非正規労働者の大量失業を踏まえ、野党は、当該失業者の住宅貸与等に係る「雇用関係4法案」を参議院で強行採決(12/18)したところですが、まずは、政府が実効性ある「雇用対策の実施」を本当に急がなければ、大量失業する非正規労働者は、「明日まで待てない窮状」と言っても過言ではありません。