「裁判員候補者」の選任通知を受けられた皆様へ

◆不特定多数への公開は禁止
 いよいよ、来年から開始される「裁判員制度(施行予定:5月21日)」に向けて、この度、最高裁判所から通知(「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」:封書)が一斉発送(11/28)されました。皆様のご自宅に通知は届きましたか?「通知」を受取られた思いは各人異なるでしょうが、残念ながら、私は「ハズレ」ました。勿論、「ハズレ」たから言えるのですが、選任された事実をHPやブログ等で不特定多数の人に対して公開することは、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年5月28日法律第63号)」※1)第108条(裁判員等による秘密漏示罪)及び第109条(裁判員の氏名等漏示罪)で禁じられていますのでご留意ください。
◆今は「裁判員候補者の候補者」の段階
 今回「通知」を受取られた人は、来年の全国裁判員候補者29万5,027人のうち、有権者352人に1人の割合という、「宝くじ当選」よりも高確率で見事選ばれたのです。とは言っても、メディア報道等でご承知のとおり、現在は「裁判員候補者の候補者」という第一段階で、まだ確定(選任)された訳ではありません。本番はこれからです。尚、裁判員制度の概要(導入編)については、当ブログ記事(7/25日付)「あなたは『裁判員』辞退希望派?」に掲載していますのでご参照ください。
◆「選任された場合」のアドバイスを期待
 これまでのマスコミ報道は、「裁判員選任辞退の事由探し」にスポットが当てられていた嫌いもあったように思いますが、今後は、「裁判員に選任された場合を想定」した前向きなアドバイスになる報道を期待します。そこで当ブログは、予備知識として、以下に刑法に係る情報を記載します。
◆過去事案は「強盗致傷」、「殺人」が上位
 敢えて「刑法」※2)について述べるのは、これまで人生で法律(とくに「刑法」)を学んだか否かを問わず、裁判員に正式選任された場合、現実の法廷では、刑事事案に係ることになるからです。即ち、冒頭に挙げた本法※1)適用の刑事裁判において、裁判員は必然的に重大犯罪事件の審判に係ることになるからです。具体的には、例えば、過去4年間(平成15年~同18年)の裁判員制度対象事件数データによると、事件数は全体的に減少傾向ですが、各年とも「強盗致傷」が第1位を占めており、4年間の平均件数占率20%以上に限定して見ると、占率順に、①「強盗致傷:29.8%」、②「殺人:20.5%」に絞られます。
◆「刑法」条文に規定
 「強盗や殺人事件なら、TVのニュース報道で日常茶飯事のように見ているから理解できる」と言われる人も多いかもしれませんが、実際の法律条文まで確認される機会は少ないと思います。刑法では、前掲第1位の「強盗致傷」について、「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と規定(第240条)し、また、「殺人」は、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定(第199条)しています。勿論、実際に法廷で係る事案は、この2種類に限定される訳では毛頭なく、単純な「強盗」はじめ、「強盗予備」、「事後強盗」、「昏睡強盗」、「強盗強姦及び同致死」、「殺人未遂罪」等々、全第264条にわたって規定されています。
◆一国民としての視点や感覚が大切
 いずれにしても、当ブログ記事で刑法の詳細解説は不能ですが、むしろ、とくに法律に精通していなくても、国民かつ一般社会人のひとりとして、常識・見識を持って法廷に臨んでいただくことを裁判所は期待しているのだと思います。つまり、国民の皆さんの視点や感覚が、裁判の内容に反映されることによって裁判自体が身近になり、司法に対する理解と信頼が深まると期待されているのです。今後、正式に裁判員に選任された人は、誇りを持って勇躍法廷に臨んでください。
※1)2004年5月21日成立。最終改正:平成19年11月30日法律第124号。
※2)「刑法(明治40年4月24日法律第45号)」最終改正:平成19年5月23日法律第54号。
参考:内閣府政府広報室資料。法務省刑事局資料。日本経済・毎日新聞記事。