非正規労働者失業は約30~50万人と予測

◆米国金融危機の直撃
 サブプライムローン問題に端を発した米国の金融危機は、わが国に大きな打撃を与え、現在進行形です。佐々木賢治氏(愛知工業大学大学院経営情報学部客員教授)※1)によれば、「そもそも今回の金融危機は、米国の90年代に指向された金融立国の経済政策にその発端がある。(「時局12月号」)」と言われます。つまり、「米国の金融立国至上主義が、ついに破綻したのだ。」と。
◆非正規労働者失業は3万人に止どまるか
 さて、厚生労働省は、「約3万人に上る非正規労働者失業」という全国調査を公表(11/28日付各紙)しましたが、このデータは、「今年10月から来年3月までに失業したり、失業する見通しの派遣や期間工ら非正規労働者が30,067人に達する」というものですが、本当にこの数値に止どまるのか懸念されます。
◆人員削減は製造業が顕著
 勿論、リストラ人数は少ないことを望みますが、冒頭に既述のとおり、米国金融市場危機の直撃後、わが国内の実体経済は急減速し、それに伴って、海外輸出関連企業が大幅減産態勢に臨んだため、今年度業績も大幅に下方修正され、コスト削減による大幅人員削減計画が相次いだのです。人員削減はとくに製造業が顕著で、高級乗用車等を生産する自動車関連企業の全国の個々の地方工場では、来年にかけて3ケタ~4ケタ単位の非正規従業員(派遣・期間)の人員削減を図る計画(計:11,020人)を発表しています。
◆地方都市は大幅税収減に
 この各企業による大幅減産態勢の影響は、非正規社員のみならず、自動車関連工場がある約6~7万人規模の人口を擁する地方都市の税収(法人市民税)にも大打撃を与えることになり、曳いては、来春就職予定の大学生や高校生等が、企業からの「内定取消し(87社、331人):厚労省調査」となっており、「就職氷河期(2001年)」以来の高水準という異状事態を招き、「負のスパイラル」となっているのです。
◆「雇用一番」を訴えた当ブログ
 当ブログでは、先月の記事(10/27日付)「『2009年問題』が日本の景気を低迷させる」で、「円高株安は輸出産業に甚大な被害を与える」と提言したところ、翌日付の中日新聞は、「株暴落・円高 雇用に影 失業真っ先“家”も失う」の副見出しで“派遣社員 窮地の秋”と題する記事を掲載しました。現状は、企業の「2009年問題」を横目に、この金融危機対応のリストラ策で、派遣社員を含む非正規社員の生活は、益々窮地に追い込まれているのが現実です。従って、当ブログ記事(10/29日付)「非正規社員に雇用助成金による救済を!」で、「金融対策も大切ですが、今、何といっても一番重要なのは『雇用』です。」と訴えた訳です。
◆非正規労働者失業はケタ違い増加を予測
 そして、ようやくここに来て、こうした景気減速による雇用情勢の悪化に対応するため、「新雇用対策」を取りまとめるよう麻生首相が指示(11/27日付)したところで、全く遅きに失した感は否めません。製造業に係る多くの派遣労働者の人員削減はじめ、事務派遣への指導監督波及を含む「2009年問題」への対応で、当年度末までは益々雇用環境が悪化すると考えられることから、非正規労働者失業は約30~50万人に上るものと予測します。急がなければならないのは、非正規労働者の「直接雇用」と「適正な請負化」、そして、「再雇用支援策」ではないでしょうか。
※1)1973年名古屋大学理学部数学科卒。84年シカゴ大学経営学大学院卒。21世紀問題事務局長等。
参考:月刊誌「時局12月号(第41巻第12号)」(株)時局社。共同通信・日本経済・朝日新聞記事等。