モーターショー&エコカー減税 “国民を虜にするクルマづくり”を期待

◆「世界金融危機から1年後」のモーターショー

 昨秋、久々に「モーターショー(名古屋:第16回)」へ行ってきました。その歴史(開催回数等)は開催地によって異なりますが、今回も東京・名古屋・大阪で開催されました。これまで東京・名古屋での開催は、個人的に長年にわたり何度も来場し、展示車の写真撮影をしてきた経験があります。この点で、自称「カーマニア」と言うのかもしれません。
 当該モーターショーに出かけた個人的な目的は、開発された新コンセプトカー等の展示を見学するのみならず、と言うよりはむしろ、来場者でどのくらい賑わっているか、どのメーカーの人気があるか、展示車のアピールショーはどうか等々のトレンドを把握したいからというのが本意です。また、当該モーターショーの開催時期が世界金融危機から丁度1年後に当りましたので、大上段に構えて申し上げるなら、日本の自動車メーカーの“元気度合い”もその現場から垣間見たかったという意向があったからです。

◆国内自動車メーカーのブースは人気

 TV報道(フジTV:1/24)によると、近年の若者は「草食系」で“クルマ離れ”の傾向です。皆様ご承知のとおり、IT分野への関心や将来に対する“安心に対する意識(貯蓄志向)”は高いようですが、自動車に対する「所有欲」は全く薄いというのが現状のようです。
 閑話休題、「モーターショー」見学後の私見を申し上げますと、国内自動車メーカーのブースは、今の若者コトバで言うと“フツウ”に人気がありましたが、「都内での通勤ラッシュアワーの列車内のごとく、来場者の人だかりで展示車が見られない」というほどのかつての賑わいが無かった点は、まさに今の世相を反映していると思いました。一方、輸入車のブースは、「カタログ」の入手希望も申込受付を実施しており、平年のような「大量バラ撒き」を自粛していたのには些か落胆しました。また、輸入車は展示車数も少なく、全体に素朴感が漂っており、改めて世界金融危機の痛手は大きかったように感じました。

◆「PHP制度の輸入車(米国車)」も“エコカー減税対象”に

 さて、日本の自動車(新車)販売においては、国内需要の喚起により個人消費を拡大すべく“エコカー減税”等により、今まさに“エコカーブーム”到来となったのはご承知のとおりです。この「エコカー補助金制度」は、《内外無差別で輸入車も対象(実際輸入車の43%が補助金対象)》となっていますが、この度、《環境・景気刺激の目的達成のためのオプションを増やすという観点から、より多くの輸入車を制度の対象とすべく、PHP制度※1)の下で輸入された自動車についても、審査のうえ、要件を満たせばエコカー補助金制度の対象(1/19から適用)》とされたのです。つまり、これまでの当該制度においては、《公式燃費値等が活用されているため、PHP制度の下で輸入された自動車(米国車)は対象となっていなかった》ため、米国政府の強い要望を飲んで、急遽、補助対象にしたという経緯です。急遽と言うのは、米国が《日本と韓国の自動車市場に関する公聴会(1/21)》が予定されていたので、日本はこれを回避したい意向があったのではないかとも憶測され、結果、当該「公聴会」は延期されました。このように米国の圧力もある中、“サスティナブル脱炭素社会”を目指しているわが国においては、「景気刺激」、「環境対応」の2つの目的は当面維持していかなければならないものと考えます。

◆“虜にするクルマを送り出す”と宣言された「社長就任会見」

 現在、国内外共に大規模「リコール問題」が連日マスコミ報道されていますが、国内大手自動車メーカーの「社長就任会見(09/6/25)」の挨拶は、今さらながら印象に残っています。それは、《商品開発では、「環境技術」とともに「運転することが喜びや感動に結びつく技術」、さらに「ニーズ先取りの技術」により、お客様を虜にするクルマを送り出したい。》と言われた言葉です。私事で恐縮ですが、これまで当該国内メーカーの自動車をはじめ、輸入車(独逸)を含め複数台のクルマを所有し、車両価格総計で分譲住宅を購入できるほどを投じてきた一人で、まさに“カーオタク”と訂正しなければなりません。従って、時代の先端を行く自動車のみならず、「クラシックカー」をこよなく愛するカーマニアの気持ちも充分理解できるつもりです。

◆“虜となるクルマ”の開発を期待
 自動車にパワー等を希求する「カーマニア」の皆様からすれば、残念ながらと言うのが正直なお気持ちかもしれませんが、しかしながら今や時代は“エコ”であり、自動車の近未来はそのトレンドを回避することも無視することも毛頭できません。今となっては、所謂「ハイブリッド車」を中心とした開発が進行されていますが、残念ながら、現在の「リコール問題」で“魅力あるクルマづくり”を求める国民の期待にはブレーキがかかってしまいました。前記の国内大手自動車メーカー社長就任時の宣言どおり、本当に“国民を虜にするクルマ”の開発に力点を置かれるのであれば、 “輸入車が醸し出すクルマの個性や質感の向上、フォルムデザインの洗練度の向上”により一層傾注いただき、クルマの所有欲が薄いと言われる若者も関心を抱くような“魅力あるクルマづくり”を大いに期待するばかりです。
※1)Preferential Handling Procedure(輸入自動車特別取扱制度):《わが国への年間輸入台数が2,000台以下の自動車に適用される特別に簡素化・迅速化された安全・環境基準に係る認証のしくみ。1986年(S.61年)に米国からの要請に応えて導入。》
参考:経済産業省及び国土交通省公表資料。共同通信・日本経済・日経産業新聞各紙記事。