「非食用事故米」問題を考える

◆食品偽装事件から早7年
 国内初の「BSE(牛海綿状脳症)感染牛」が確認されたのは2001年9月で、早7年の歳月が経過しました。翌年、牛肉偽装事件が内部告発による発覚以降、食品偽装事件は後を絶たず、ついに我々消費者が主食とする米にまで至りました。政治空白の只中に「非食用事故米穀(以下、「事故米」と表記)」※1)の食用転売が発覚し、公表(9/5)されました。発覚後1ヶ月が経過しようとする現在、事故米流通業者は400社以上に上り、その食用使用範囲も全国に拡大しています。
◆偽装工作された事故米
 そもそも論を言えば、「そこに事故米があったから」です。即ち、「ウルグアイ・ラウンド合意(1993年)」※2)により、わが国は高関税で外国産米を輸入制限する代わりに、1995年以降一定量の「ミニマムアクセス米(含む事故米)」の輸入を義務付けられ、現在年間77万トンの購入・保管に計677億円も要しているのです。この内、事故米は年間約2,000トンで17社が購入しているようですが、渦中の米粉加工販売会社の事故米購入量は隔年増減で連続し、2003年から現在までの6年間で、合計約1,780トンを購入した農林水産省のお得意様でした。そして、当該企業は別会社への転売により事故米の出所を撹乱させ、食用米として価格も吊り上げるという偽装工作のおまけ付です。
◆組閣後に対策本部立ち上げ
 事故米流通先である善意の業者への立入検査が先行され、事故米転売公表の時点で、渦中の米粉加工販売会社への対応は、要請したとは言うものの自主回収一任に留め、まさに、お得意様へ配慮したと言われても仕方ありません。国民に健康被害が発生していないことだけが不幸中の幸いです。この混乱の中で前農林水産大臣は唐突に辞任し、事故米対策本部が立ち上がった(9/24)のは、冒頭の不正転売公表からすでに20日間を経過していました。
◆「食品期限表示」以前の問題
 消費者はこれまでの食品偽装事件を受け、加工食品の「賞味期限」や「消費期限」の期限表示に敏感になりましたが、残念ながら、事故米が焼酎やせんべい等に変身していることまで見抜くことはできませんでした。某新聞サイトで、女性コラムニスト(作家・編集者)は、「田舎で農業をして自然農法の野菜と米を食し、魚は自分で釣るか信頼ある魚店から調達し、冷凍食品は買わない。その代わり、服も買わない、化粧もしない、車も持たない、クーラーもつけない」等と、超自然派生活指向で「食は自衛も必要」と主張(9/25記事)されていますが、全国民が自給自足する訳にもいきません。
◆「対岸の大国」を笑えない
 冒頭の牛肉偽装事件の告発者は取引先企業でしたが、当該事件の影響で信用が激減し、一時は廃業にまで陥り、営業再開したのは2年後でした。今回の事故米問題も同様、某酒造会社は「自主回収対象外の商品の返品の上、一般商品の注文も激減したので訴訟も検討中」と会見しました。事態は深刻であり、政府による早期解明及び再発防止策の確立及び経営に支障が出た善意の業者に対する救援策が急務です。当ブログの過去記事(6/24・7/4・23日付)で述べたとおり、信頼できる食品の「トレーサビリティー」表示が必要であり、偽装に「地域ブランド」の醸成もありません。新年度「消費者庁」創設が予定されていますが、農水省との連携及び棲み分けが必要であり、改めて、国も業者もコンプライアンスが求められます。でなければ、「対岸の大国」を笑うことはできません。
※1)保管中にカビの発生、水漏れ等の被害を受けたもの、又は基準値を超える残留農薬等が検出されたもので、用途を限定して売却するもの。
※2)サービス貿易、知的所有権の扱い方、農産物の自由化等を含んだ包括的な貿易ルール。GATT改組による「世界貿易機関(WTO)」の設立を盛り込んだ「マラケシュ宣言(1994年4月)」を採択。
参考:農林水産省総合食料局食糧部公表資料。経済産業省公表資料。日本経済・読売・朝日・西日本新聞各紙。