「観光立国」推進に期待すること

◆10月1日に「観光庁」発足
 来る10月1日に、国土交通省の外局として「観光庁Japan Tourism Agency」が設置されます。これは、「国土交通省設置法等の一部を改正する法律(平成20年4月25日成立。平成20年5月2日法律第26号公布)」に基づくものです。遡及すれば、小泉元首相の施政方針演説(2002年2月)で、「我が国の文化伝統や豊かな観光資源を全世界に紹介し、海外からの旅行者の増大と、これを通じた地域の活性化を図」ると言及されたことから始まりました。そして、「経済財政運営と構造改革に関する方針2002(2002年6月)」の閣議決定、「グローバル観光戦略(2002年12月)」に基づき、5年間(2003~2007年)にわたる「訪日ツーリズム拡大戦略期間」が終焉しました。その結果、訪日外国人旅行者受入数は、477万人(2001年)から目標の800万人台(2007年)を突破し、834万6,969人(確定値。2001年対比75%増)※1)達成という実績を残しました。
◆わが国経済社会の発展を目的
 「観光立国の実現は、21世紀のわが国経済社会の発展のために不可欠な国家的課題」として、「観光立国推進基本法」の制定(2006年12月)、「観光立国推進基本計画」の閣議決定(2007年6月)を経て、官民挙げて観光立国の実現に取り組む体制が必要との観点から、国土交通省に「観光庁」を設置し、観光立国を総合的かつ計画的に推進する為に、冒頭の改正法が成立したという経緯です。但し、行政改革が叫ばれている中ですので、観光庁の新体制(予算定員:103名)は、国土交通省のスクラップ&ビルドによるという計画です。
◆当面目標は1,000万人(2010年)
 観光立国の意義を、①国際社会の相互理解の増進、②経済活性化、③地域の活性化、④わが国の歴史的・文化的価値の再認識とし、観光庁が、①魅力ある観光地づくりを主体的に行う地域を強力支援、②観光産業の国際競争力の強化を支援、③国際観光の支援、④観光旅行促進のための環境整備を実行して観光立国の実現を加速させるという方針です。即ち、観光庁が対外的な発信力及び政府挙げての取組みを強化し、地域・国民に対して、観光のワンストップ的な窓口になることをめざしています。国際観光の振興については、「独立行政法人国際観光振興機構(通称:日本政府観光局JNTO)」が設立(2003年10月)されており、現在、訪日外国人旅行者数1,000万人(2010年)を目標とする「ビジッド・ジャパン・キャンペーン」が官民一体で展開されています。実際、今年上半期(1~6月)の訪日外国人数が約433万7,400人(推計値。前年同期比10.0%増)となり、上半期では初めて400万人台を記録したのを受け、政府(観光立国推進戦略会議)は、訪日外国人数を2,000万人(2020年)とする中期目標を掲げた(6/20)ところです。
◆ソフト面の充実も
 かつて、「世界デザイン博覧会(1989年:名古屋市制100周年記念。入場者数:1,518万人)」の開催で、市街地の観光施設や交通機関の案内表示がシンプルかつ多言語化しました。現在は、夏季オリンピック(2016年)の国内正式候補地(東京)の最終決定(IOC総会:2009年10月)に期待が寄せられますが、国際的イベントの開催に依存したハード面だけでなく、日常生活における多言語による観光案内を推進する等、ソフト面からの対応が優先されることを望みます。それがひいては、「サスティナブル(持続可能な)都市づくり」に繋がるものと確信します。
参考:※1)平成20年4月18日付「国際観光振興機構(JNTO)企画部」資料。国土交通省総合政策局観光政策課公表資料。