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2008.09.19

米国大手生保経営危機とわが国の生保契約者保護制度

◆日本の破綻生保は外資系生保が買収
 かつて、わが国の保険会社は、バブル経済崩壊の影響を受けて、生保会社7社及び損保会社2社の計9社が破綻しました。破綻した生損保会社は、主に外資系生命保険会社への吸収合併や、既存損害保険会社への契約移管等が実施され、規制緩和の進行と共に、所謂「第三分野(医療・傷害等)」の保険契約にターゲットを当てて業績を伸ばしてきたという経緯がありました。
◆米国大手生保は事実上国有化に
 現在、米国においては、サブプライムローン問題による株価低迷等の影響を受け、米国大手証券会社3社の経営破綻や合併等により、最大手保険会社グループが経営危機に陥りました。連邦準備制度理事会(FRB)は、当該企業グループの保険会社の約1,014万人に上る生損保契約の個人顧客に直接影響が及ぶことになる点と、それに係る連鎖的な債務拡大等による金融市場の危機回避の為、約9兆円(日本円換算)の公的支援融資枠が設定されたところです。冒頭に述べたわが国の破綻中堅生保を買収した外資系生命保険会社が、今度は危機に陥ったという訳です。
◆生保会社の保険契約者保護制度
 米国の金融再編は予断を許さない情勢ですが、わが国においては、万一、生命保険会社が破綻した場合に備え、「生命保険契約者保護機構」※1)があります。これは、保険業法に基づいて設立(1998年12月1日)・事業開始した法人で、外国保険会社を含む国内で事業を行うすべての生命保険会社が会員として加入しています。つまり、生命保険会社が破綻した場合には、①当保護機構によって保険契約は継続され、②国内で事業を行う生命保険会社の元受保険契約は保護機構の補償対象となり、高予定利率契約を除き、破綻時点の責任準備金等の90%まで補償されるという制度です。但し、破綻した生命保険会社の財務状況によっては、責任準備金が削減されることがあります。
◆業界負担枠超時は政府補助
 当該保護機構の更生手続きで、保険契約の移転等における資金援助、補償対象保険金の支払いに係る資金援助等が行われるのですが、その財源は、会員保険会社各社の負担金で賄われます。借入限度額は4,600億円で、平成20年3月末現在の借入可能額は約3,591億円です。但し、現在のところ、平成21年3月31日までの破綻に対応するものであり、資金援助が業界負担枠を超えた時は、国会審議を経て、政府補助が可能となっています。因みに、前掲の米国生保会社2社は、合併契約を先月末(8/29)に締結し、現在のところ、来年1月1日に経営統合(総資産:4兆3808億円)の予定です。
◆預貯金とは異なる生命保険
 昔から、「預貯金は三角形、保険は四角形」と言われてきたとおり、とくに、生命保険契約に加入後の期間が短い場合は、解約時返戻金が皆無等の場合もあるのが保険ですから、解約手続きに対する拙速は避けた方が賢明と思います。と言うのも、生命保険は加入時の年齢で保険料が決定され、新規契約となれば、当然既契約保険料よりアップしますし、健康状態等によっては加入できない場合も皆無とは言えないからです。従って、引受保険会社の窓口できちんと相談し、経済情勢を見極め、保険契約内容をよく確認した上で判断し、大切な生命保険が途切れることのないよう今後の人生に有効なものにしてください。
※1)平成20年8月27日現在、会員46社。損害保険契約者保護機構は別に有る。
参考:金融庁資料。日本経済新聞記事。