所謂「名ばかり管理職」における管理監督者性の判断要素

◆管理監督者性の判断を明示
 多店舗展開する小売業や飲食業における店長等について、所謂「名ばかり管理職」が社会問題にまで発展した為、この度、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛に、「通達(基発第0909001号平成20年9月9日付)」が発出されました。所謂「名ばかり管理職」とは、十分な権限や相応な待遇等が与えられていないにも係らず、労働基準法上の管理監督者であるとして長時間労働が行われ、残業代が支給されない等、不適切な労働待遇を強いられた実態の無い役付者を指しますが、冒頭の通達にて、管理監督者性の判断について明示されましたので、以下に要点をご紹介します。
◆判断の「重要要素」とは 
 具体的な判断要素として、(1)職務内容、責任と権限、(2)勤務態様、(3)賃金等の待遇の3分類で、「管理監督者性を否定する重要な要素」を示しています。まず、第一の要素は、①アルバイト・パート等の採用について責任と権限が無い、②アルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず、③部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず、④勤務割表の作成、所定時間外労働の命令について責任と権限が無い。第二の要素は、遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価等不利益な取扱いがされる。第三の要素は、①時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たない、②時間単価換算した場合に最低賃金額に満たない、です。
◆その「補強要素」
 また、前掲第二の補強要素として、①長時間労働を余儀なくされる等、実際には労働時間に関する裁量がほとんど無い、②労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めること。同様に、第三の補強要素として、①役職手当等の優遇措置が割増賃金が支払われないことを考慮すると十分でなく労働者の保護に欠ける、②年間の賃金総額が一般労働者と比べ同程度以下である、としています。
◆管理監督者の適正化を
 非正規就業者の割合が過去最高の35.5%(2007年就業構造基本調査速報:総務省)を占める今日、非正規就業者の会社に対する忠誠心の有無や程度は知る由もありませんが、非正規就業者に限らず、経営者が社員を「名ばかり管理職」として放置していると内部告発される可能性もあり、管理監督者の適正化に至る前に行政処分等を受けることにも繋がって手遅れとなります。勿論、前掲通達は、小売業・飲食業等の小規模チェーン店の店長等を対象としたものですが、「名ばかり管理職」は当該業種に限られたものでなく、一般メーカーや企業等においても、当然に上記のような管理監督者性の判断要素を問われるべきであり、改めて管理監督者の適正化が望まれます。
参考:平成20年9月9日付厚生労働省労働基準局発表資料。