求められる「ワーク・ライフ・バランス」

◆「憲章」と「行動指針」の策定
 少子高齢社会の只中にある現代ですが、「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」において、(a)「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び(b)「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定(平成19年12月18日)されました。
◆指針目標年は2017年
 前者(a)は、国民的な取組みの大きな方向性を示すもので、その内容は、非正規就業者の割合が35.5%(「2007年就業構造基本調査速報」:総務省)と過去最高を記録する等、働き方が二極化してきたこと。また、勤労者世帯の過半数は共働き世帯だが、社会的基盤は従来のままであり、男女の固定的な役割分担意識も残存しているという現実があること。そして、経済的に自立できないワーキングプア等の存在や、長時間労働のため心身の疲労が蓄積した人、家族団らんを持てない層、仕事と子育ての両立困難等、仕事と生活の間で問題を抱える人が増加したのを要因として、少子化対策や労働力確保が社会全体の課題になったとしています。従って、多様な働き方の選択を可能にする必要や働き方の見直しが、生産性の向上や競争力の強化に繋がるものとして、当憲章が策定された訳です。仕事と生活の調和が実現した社会の姿として、当憲章は、行動指針に掲げる目標を、例えば、女性(25~44歳)就業率:69~72%、高齢者(60~64歳)就業率:60~61%、フリーター数:144.7万人以下等、具体的な数値で示しています。他方、後者(b)は、企業や働く者の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を示すもので、「仕事と生活の調和」実現度指標等の活用により、進捗状況を把握・評価し、政策へ反映しようというものです。
◆未婚者増加で晩婚化
 実際、ここ約20年間にわたり減少の一途を辿ってきた合計特殊出生率は、2007年に「1.34」に上昇しましたが、その内容は、第一子・第二子は減少し、第三子以上が増加したという結果が出ています。婚姻数の減少で未婚者が増加し、晩婚化による晩産で、第一子出産の母親の平均年齢は29.4歳と過去最高を更新しています。所謂、団塊ジュニア世代(昭和46~49年生)に期待がかかるものの、現在30歳代半ばの彼等が、前掲(a)の憲章に挙げるような生活不安を抱えているとすれば、第一子・第二子の出産増加を期待するのは難しいものがあります。
◆個々に求められる「ワーク・ライフ・バランス」
 それでも、「男女共同参画会議仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」のデータ(1997年~2006年)によると、育児休業制度の利用者の増加等により、働き方の柔軟性が向上したという結果はありますが、前掲の第三子以上の出産増加の現実を踏まえると、生活費確保のために働くニーズは上がりますが、反面、産後に働く年齢は遅くなるというジレンマに陥り、課題は個々に異なってくるものと推測されます。いずれにしても、少子対策としての保育施設等の受入環境や、企業の再雇用態勢等、一層の社会基盤整備が望まれます。内閣府意識調査結果(回答:2,500人)で、「生活の中で仕事優先を希望する(2.0%)」人は少ないが、現実は「仕事優先になっている」のが大半を占め(48.6%)、長時間労働の改善が進んでいない実態が存在する中、私達の各家庭における「仕事と生活のバランス」を、トータルに確立していく努力が求められているのではないでしょうか。
参考:厚生労働省及び内閣府公表資料。「『仕事と生活の調和』実現度指標について(概要版)平成20年3月25日」男女共同参画会議仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会資料。日本経済新聞記事。