「防災の日」に考える

◆最近は内陸大地震化?
 「関東大震災(1923年)」から85年目に当たる「9月1日(防災の日)」を迎えたのを機に、防災について考えたいと思います。因みに、「防災の日」が制定(1960年)されてから48年になります。今年現在の大規模地震発生は、(a)M7.8の「中国・四川省大地震(5/12)」と、その約1ヶ月後に日本で発生した(b)M7.2の「2008年岩手・宮城内陸地震(6/14)」が挙げられます。前者(a)は、首都北京まで広範囲にわたって発生したので、オリンピックの開催が心配されました。その後、ニュース報道によると、被災地では水痘やA型肝炎等の感染症が発生したようですが、校舎崩壊による耐震建築疑惑で住民が訴えていたのが印象に残っています。他方、後者(b)では、山岳の大崩落に誰もが驚嘆されたことと思います。しかし、被災当事者でもなければ、甚大な自然災害の恐怖は、日ごとに忘れ去られていくのが最も怖いことかもしれません。
◆「稲むらの火」の教訓
 防災の話として、M8.4の「安政南海地震(1854年)」による大津波が湯浅廣村(現:和歌山県有田郡広川町)を襲来した時に、村人達を救った物語「稲むらの火」※1)があります。この話は、小泉元内閣総理大臣が国連防災世界会議の席で世界の参加者に紹介されました。それは、主人公の五兵衛(浜口儀兵衛)※2)が、暗闇の中で逃げ遅れていた村人を、収穫したばかりの稲を積み上げた「稲叢(むら)」に火を放って高台に導いて村人の命を救ったのです。この「稲むらの火」からは、災害発生の際には、迅速に判断して行動することの重要性が窺われます。
◆発生は近いと予測される「東海・東南海・南海地震」
 実際、前掲の「安政南海地震」の32時間前には、M8.4「安政東海地震」が発生しており、地震が発生する100年~150年という長周期の間隔からすると、今世紀前半にその発生が想定されています。とくに、「東海・東南海・南海」の3つの地震が重なって発生した場合には、死者数は約24,700人に上ると推計されています。そして、中央防災会議専門調査会は、「東南海・南海地震対策大綱」で、1都2府18県652市町村の「防災対策推進地域」を指定(平成15年12月16日決定)していますので、自分が住んでいる地域を改めて確認してください。
◆各自どう備えるか
 自然災害は「大地震」や「津波」だけではありませんが、前掲の「稲むらの火」を教訓としても、現実社会では、地震発生ですぐに外へ飛び出してケガ等をする人が散見されるように、迅速な行動もひとたび誤ると悲惨な結果を招きますので、日頃から災害に対する正しい知識を習得し、各自が防災に臨む姿勢が肝要です。とくに、今年8月に発生した局地的で「記録的な集中豪雨」による水害も侮れません。他人の命を救うためにも、まず自分自身の命を守り、各自がどう備えるべきかを改めて考えることが大切に思います。
※1)原作:パトリック・ラフカデイオ・ハーン(帰化後、小泉八雲)、作者:中井常蔵(つねぞう)(三ツ橋常蔵)。
※2)浜口氏は、私塾「耐久社(現:県立耐久高校)」や共立学舎を設置し、剣術・漢学を通して人材育成をした人物で、津波再来から村を守る堤防を建設する為、多額の私財を投じ、村の復旧・復興に努めました。醤油製造販売の実業家であり、和歌山藩の勘定奉行や初代和歌山県会議長を務めて行政手腕を揮いました。
参考:内閣府公表資料。気象庁報道発表資料(平成20年6月14日)。防災システム研究所公表資料。