「法テラス」は周知されたのか

◆正式名は、「日本司法支援センター」
 “天照(あまてらす)”ならぬ、「法テラス(愛称)」は、全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現を理念とする「総合法律支援法(2004年6月2日公布)」に基づき、国民向けの法的支援を行う中心的な機関(法人)として設立された法務省所管の団体「日本司法支援センター(正式名称)」を指し、2006年10月2日から業務が開始されました。因みに、「法テラス」の愛称には、法で社会を明るく照らしたい、陽の当たるテラスのように安心できる場にしたいという思いが込められています。
◆法的トラブルを解決する身近な相談窓口
 「法テラス」は、法的トラブルを抱えた人々に、法制度や相談窓口等、解決へのきっかけとなる情報やサービスを提供するほか、経済的に余裕のない人には無料の法律相談を行っています。主な事業内容は、「相談窓口」、「民事法律扶助」、「公的刑事弁護(国選弁護)」、「犯罪被害者支援」、「司法過疎対策」です。具体的な業務のうち、よくある問い合わせとして、借金の返済方法、離婚問題、遺言等々が挙げられていますが、どこに相談してよいかわからない人や、「法的」なトラブルか否かわからない人等、国民の法的な解決を後押しする「駆け込み寺」として気軽に照会できるのは安心できます。
◆運営体制は大丈夫か
 「法テラス」の業務が開始されてから約1年半が経過しましたが、業務の試行期間中には諸課題が発生したようで、事例を挙げてみます。①「法テラス」から案件が回付されてから遅くとも24時間以内に司法書士から相談者に電話すると伝えていたが、遅れて苦情となったというケースです。また、本部事務所(東京)はじめ、地方事務所(全国地方裁判所本庁所在地50ヵ所及び地裁支部11ヵ所、司法過疎地10ヵ所:計71ヵ所)が設置されていますが、②常勤弁護士(任期:最長9年)の収入は裁判官並みで、長期間勤務しても昇給等のメリットがない他、地方勤務が避けられず、その経験が今後どのように役立つか予想しにくい等を事由に敬遠する声が出て、その結果、常勤弁護士が初年度計画(75名)の3割弱(21人)しか確保できなかったとの経緯です。
◆模倣事件は、「周知の証」ではない
 今年の4月下旬に発生した「法テラス」の名称とロゴマークを模倣した団体は、「法テラス」と全く無関係でしたが、この7月は、「法テラス」コールセンター※1)でセクハラ事件が発生(提訴)してニュースになりました。「法テラス」自体の知名度は決して高いとは言えず、国民の法的トラブルを解決しなければならない立場の「法テラス」が、社会問題を起こしていては何をかいわんやです。むしろ、当該事件の発生で世間に認知されている程度に思われます。
◆周知と安全・安心な態勢づくりを
 本来、「法テラス」は司法制度改革の一環として設けられたのですが、広く国民にサービスを提供できているか否かを問う以前に、前掲の常勤弁護士の採用計画(4年間:計300人体制)がどこまで進行しているのか正直不安です。と言うのも、常勤弁護士の確保が進展していないのであれば、今後の制度運営に影響しかねないからです。国民が抱える法律問題は後を絶たない訳ですから、関係者に対しては、「法テラス」のより一層の周知を図ると共に、利用者が安全・安心に相談できる態勢を一刻も早く整備していただきたいと期待するばかりです。
※1)「法テラス」コールセンターTEL:0570-078374(オナヤミナシ)。平日9:00~21:00、土曜日:9:00~17:00。利用料は「0円」ですが、通話料は全国一律有料(3分8.5円)。
参考:「総合法律支援法について(概要)」首相官邸HP資料。日本司法支援センター公表資料。