安全な労働環境を確保するために

◆「全国安全週間」を前に
 “トップが率先 みんなが実行 つみ取ろう職場の危険”。冒頭に、来る7月1日から始まる「全国安全週間(7日まで)」の標語をご紹介しましたが、キャンペーン前月の6月1ヶ月間は準備期間とされていますので、この機会に、労働安全衛生について考えることにします。
◆近年の労働災害は減少傾向
 わが国の「労働安全衛生法」が施行されたのは1972年(昭和47年法律第57号)で、直近の改正法(平成17年法律第108号)は、平成18年4月1日に施行されました。労働安全衛生法施行の前年(1971年)の労働災害死亡者数(厚生労働省データ)は5,552人で、2007年(平成19年確定値)の1,357人(過去最小)と比較すると、現在は、約4分の1(対当該年約24.4%)にまで激減しています。しかし、比較年が随分旧いので、近年比較をすると、2005年(平成17年)に対しては89.6%、2006年(平成18年)に対しては92.2%(対前年の重大災害:92.1%)、と減少はしていますが、いまだに多くの方が被災されているのが現状です。因みに、労働者の健康状況については、定期健康診断の有所見率は増加し、およそ2人に1人が有所見(49.1%:平成18年)という状況ですが、ここでは、労働災害に焦点を当てます。
◆「ILO第187号条約」の世界最初の批准国
 実際、わが国の「労働災害防止計画(計画期間:5年間)」は、労働安全衛生法が施行される14年前の1958年(昭和33年)に初めて策定され、労働災害死亡者数等の減少等、改善されてきています。とくに、わが国は、昨年(2007年7月24日)に「ILO第187号条約(2006年:ILO総会採択)」※1)の世界最初の批准国となり、当条約の「職業上の安全と健康に関する国内計画を設けて労働安全衛生を国の政策課題の上位に位置させる」趣旨に基づき、当「労働災害防止計画」を策定・位置付けしています。
◆現在は「第11次労働災害防止計画」
 現在は、労働安全衛生法第6条※2)に基づく「第11次労働災害防止計画(平成20年3月19日公示)」で、平成24年度までの5年間の計画が策定されていますので、以下にその目標を列記します。①死亡者数について対平成19年比で20%以上減少させること。②死傷者数について対平成19年比で15%以上減少させること。③労働者の健康確保対策を推進し、定期健康診断における有所見率の増加傾向に歯止めをかけ、減少に転じさせること、という3項目にわたります。
◆労働災害は特定業種に多い
 平成19年の労働災害は減少したと前記しましたが、同年の「労働災害による死亡者数」が多い業種は、①建設業、②製造業、③陸上貨物運送事業の順で多く、「重大災害(一時に3人以上の労働者が業務上死傷又は罹病した災害)」の発生状況も全く同様の業種と順位になっています。但し、それら各業種は、いずれも前年より減少しているのが救われる点です。
◆改正指針を参考に
 従って、当防止計画では、機械災害や墜落・転落災害の防止等の8つの重点対策と、労働災害多発業種として、製造業・建設業・陸上貨物運送業対策等、10項目にわたる対策を策定しています。とりわけ、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針(平成18年8月1日)」、改正「機械の包括的な安全基準に関する指針(平成19年7月31日付基発第0731001号)」については、過日の当ブログ(請負シリーズ)でご紹介しましたので、改めて各指針の内容をご確認のうえ、皆様の各職場における対策を推進いただき、冒頭の「全国安全週間」の標語どおり、経営トップの強いリーダーシップの下、全員一丸となって安全活動を着実に実行し、機械設備、作業等によるリスクを無くせるよう、安全衛生水準のより一層の向上を図る契機にしてください。
※1)正式名:「職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約」。条約テーマ:労働安全衛生。
※2)厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画を策定しなければならない。
参考:「日本が批准したILO条約一覧」国際労働機関駐日事務所資料。「第11次労働災害防止計画の概要」厚生労働省労働基準局資料。