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2009.02.05

非正規労働者を“人財”にできるか

◆増加一途の「非正規労働失業者削減人数」
 世界同時不況の直撃以降、わが国内企業は、大手自動車メーカーはじめ輸出関連企業のみならず、今やあらゆる業種にわたる数多くの企業が減産態勢に臨んでおり、今年度業績の下方修正に続き、年度末赤字決算見通しが発表される等、暗いニュース報道が続いています。それに伴い非正規労働失業者の削減予定人数は日ごとに増加の様相を呈しています。
◆「大津波」をいかに乗り越えるか
 所謂「雇用の調整弁」として「派遣切り」に突然遭遇した非正規労働失業者が、住まい確保のために、①「年越し派遣村(日比谷公園)⇒②厚生労働省講堂⇒③東京都4施設⇒④日本青年館⇒⑤都内3旅館等へ移動するのをメディア報道で追い駆けて来ましたが、新年も2ヶ月目に入った現在は、多数の非正規労働失業者の生活を心の片隅で案じるに留まっています。彼らの生活を心配する等とは甚だ「上から目線」のようで誠に恐れ多いのですが、実体経済は個人消費が低迷する等、我々の個人生活も防衛態勢にあり、各企業においては世界同時不況の「大津波」をいかに乗り越えて行くかに存亡がかかっていると言っても過言でなく、不安定な株式市況に一喜一憂していられない状況と推察します。
◆企業は非正規労働者へ「投資」してきたか
 昨年末にメディア報道された討論会で、《今後は企業の基盤である「人」への投資が必要であり、個人と企業の協力態勢が肝要である》と意見集約されていました。これまで“企業は人なり”と言われてきたとおり、「人材」に対する投資はこれまでも重要視されてきましたので、当該討論会の発言を聞くにつけ、「ならば、これまで「人」に投資してこなかったのかよ!(言葉が乱れ誠に失礼致します)」等と、いささか「ツッコミ」を入れたくもなりました。
◆「派遣切り」は“人財”の流出
 「派遣切り」でやむなく熟練技術者等の解雇に踏み切った企業にとっては、世界同時不況直撃による人件費削減のためという大義名分のもと、「雇用調整」と一言で片付けられていますが、まさに“人財”の流出にほかありません。勿論、非正規労働者が今後も路頭に迷わないよう自立していくには、個々のスキルアップが求められますが、一朝一夕に叶うものではありません。企業が本当に“人財”を重視するならば、非正規労働者への教育訓練等の機会提供やそのクォリティ向上がこれまで以上に求められるのではないかと考えます。
◆大津波の渦中で「精査数値」は要らない
 冒頭で述べたとおり、メディア報道で非正規労働失業者の削減人数が数千人単位で増加していく現実に対し、厚生労働大臣は閣議後の所謂「ぶら下がり記者会見(1/30)」で、《極めて深刻な状況だと思いますし、雇用の指数は遅行指数と言ってあとから来るわけです。データになりますからどうしてもあとから出てきますが、今後とも厳しい状況は続くと思います。》と述べています。例えば、災害時の被災者数値なら一刻も早くその実態を把握しようとする筈ですが、厚労省公表の非正規労働失業者削減人数は、「調査結果報告に過ぎない、遅行かつ過少数値報告」に止どまっていることには、未だ納得できかねています。
◆非正規労働者への「投資」が肝要
 米国の失業者数が約1,000万人と報道される中、当ブログ(2/2日付記事ご参照)では、非正規労働失業者数は当初予測の約30~50万人から、今や約100人超へ推移するものと予測しています。厚労省報告数値を単に非難するのみならず、この過少数値に拘るのは、非正規労働者が「派遣切り」された人数だけで片付けられるのは、彼らがアピールする「人を物扱いするな!」という観点からであり、当ブログ記事(1/28日付)「厚生労働省の失政(人災)」で述べたとおり、今後の雇用対策にも大きく影響して遅行要因になるものと考えるからです。非正規労働者を育成し、真に“人財(企業内戦力)”と位置付けていくには、より充実した教育訓練が実施される等、非正規労働者への「投資」の必要に迫られます。首相指示の下、元厚労相2名も加わる「与党新雇用対策に関するプロジェクトチーム(座長:川崎二郎元厚労相)」が昨年発足している訳ですから、今後、中・長期を展望した雇用対策や労働者派遣法改正案見直しの議論がなされることを期待します。
参考:厚生労働省公表資料。
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