派遣法改正で求められる“有期雇用派遣労働者の雇用安定”

◆大学の非常勤職員の「雇止め」問題

 今年に入って、《京都大学は、2010年度以降に雇用期限を迎える非常勤職員を一律5年で「雇止め」するとしていた問題》に対し、《能力や適正があると認めれば実質的に再雇用することを決めた(1/29)》とのマスコミ報道がありました。新規公募を実施した場合の再雇用は、当大学の各部局の判断に任せられるというものです。“非常勤職員が行うのは臨時的職務。5年程度で見直すのが適当”との副学長の弁で、実際、非常勤職員の大学における職務は多岐にわたるものと推測しますが、例えば、非常勤職員による調査・研究活動に基づく成果や経験等は、言わば大学の財産の一部と言えます。現状のまま推移した場合に《10年度中に約100人が雇い止めとなる》という規模は決して小さくありません。この問題は京都大学に限らず、全国の各大学を含めれば、相当規模の人員数になるものと推測します。

◆“飛び石”派遣は派遣法違反

 さて、冒頭の京都大学の当該方針が実現すれば、非常勤職員として再雇用される機会を得られますが、昨年までの人材派遣における所謂「2009年問題」に関しては、(a)所定の派遣期限終了⇒(b)「直接雇用」⇒(c)「再派遣」されるという、言わば、“飛び石”派遣※1)の構図は派遣法違反(第40条の2)に相当し、労働者供給事業※2)と判断されるのです。“雇止め”が生じる有期労働契約については、これまで「派遣元」※3)における是正件数が多く、1年未満の短期労働契約で顕著という背景のもと、「雇止め」をめぐるトラブルを防止するために労働基準法が改正※4)されてきました。とくに、高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者等の有期労働契約の期間は上限5年(同法第14条第1項)に延長され、『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』※5)が策定されたという経緯です。

◆「有期雇用派遣労働者の雇用安定」を目指して

 有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等については、この度の『派遣法改正案要綱』の『答申(10/2/24日付):労政審』※6)で、次の措置を講ずるよう努力義務が明記されていますので、以下に列記してご紹介します。派遣法改正案の今国会での論議が待たれますが、鳩山首相は《相当の議論の中でようやくまとまったものだ。変えるというのは極めて難しい(3/12:参院予算委員会)》との判断ですから、“取り敢えず改正”という消極的スタンスは変わらないものと推測します。
(1) 期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供すること。
(2) 当該派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合にあっては、有期雇用派遣労働者等を紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れること。
(3) (1)及び(2)のほか、有期雇用派遣労働者等を対象とした期間を定めないで雇用される労働者への転換のための教育訓練その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
※1)◆当ブログ記事(08/10/2日付)
 :『「飛び石」派遣はコンプラ違反!』ご参照。
※2)職業安定法(昭和22年法律第141号)第44条。
※3)◆当ブログ記事(08/5/29日付)
 :『有期労働契約において使用者が講ずべき措置等について』ご参照。
※4)平成15年7月4日法律104号公布。平成16年1月1日施行。
※5)上記※3)の改正労基法第14条第2項及び第3項。平成15年厚生労働省告示第357号。
※6)◆当ブログ記事(10/2/25日付)
 :『労働政策審議会 派遣法改正案「要綱」を厚労相に答申』ご参照。
参考:共同通信・日本経済新聞各紙記事。

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