改正労働基準法 人材派遣等の時間外手当で起きる“困惑と矛盾”

◆改正労働基準法施行で対応を問われる「派遣先企業」

 4月1日施行予定の改正労働基準法※1)で、1ヶ月60時間を超える時間外労働について、大企業では法定割増賃金率が「50%以上」に引上げられることにより、様々な矛盾が出て来るものと思われます。厚生労働省は企業の雇用実態を把握していない為、同法改正で生じる“矛盾”を理解していないのでしょうか。実際、自社社員だけで経営されている企業数は微々たるものです。

◆懸念される「派遣元企業」の人件費増

 この度の同法改正で、《中小企業※2)の割増賃金率については、施行から3年経過後に改めて検討する》として当面猶予されますが、派遣先企業においては困惑する事態を招くのではないかと懸念します。例えば、派遣会社の規模によっては、必然的に隣の派遣会社と所謂「残業手当(時間外労働に係る法定割増賃金率)」は異なり、また、派遣先が中小企業の場合、大企業からの派遣社員の法定割増賃金は多くなるという矛盾も露呈することになります。そして、法定割増賃金率の引上げを例とすれば、前述のとおり、当面猶予されるので、中小企業社員の時間外労働に依存するという事態も想定できます。残業が増えて喜ぶ社員も存在するかもしれませんが、派遣先企業の“困惑”と相俟って、「派遣元企業」の人件費は増大することになるのです。

◆求められる「効率経営」と「労務管理の向上」

 勿論、同法改正は、(a)「時間外労働の削減」、(b)「年次有給休暇の有効活用」の2点を柱とし、長時間労働を抑制し、健康確保やワーク・ライフ・バランスを図ることを目的としているので、派遣先及び派遣元の両者共に企業としてのその意識を高めることに努めていかなければなりません。同改正法施行まであと約1ヶ月と迫りましたが、派遣先及び派遣元企業は効率経営が可能となるよう努力すると共に、労務管理の向上を目指して臨まなければならないと考えます。
※1)当ブログ記事(10/1/18日付)
 :『今春施行される「改正労働基準法」の要点』ご参照。
※2)(1)資本金額(または出資総額):小売・サービス業(5,000万円以下)、卸売業(1億円以下)、それ以外(3億円以下)または、(2)常時使用労働者数:小売業(50人以下)、サービス・卸売業(100人以下)、それ以外(300以下)。事業場単位ではなく、法人格(法人または個人事業主)単位で判断する。但し、改正法施行後、中小事業主でなくなった時点から割増賃金率の引上げが適用となる。

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