「製造業2009年問題」対策は万全か

◆「抵触日」の個々把握を
 製造業における労働者派遣の「2009年問題」はすでに始まっていますが、今後、「抵触日」を迎える企業は、遅くても年内に対策を確立しておかなければ間に合いません。少なくとも、平成18年3月1日以前から労働者派遣を受入れていた派遣先が、その日以降、新たに「同一の業務」について労働者派遣を受入れていた場合については、従前の労働者派遣と新たな労働者派遣との間の期間が3ヶ月を超えない場合、継続して労働者派遣を受入れているとみなされる為、「一定の手続き」※1)を経て契約更新を可能となる対応を実施されたという経緯がある筈ですから、最長3年間という派遣期間を満たしたとすると、平成21年3月1日に「抵触日」を迎えるという現実が待っているのです。
◆安西弁護士の理論から
 この切迫した「2009問題」に対し、安西愈弁護士は、各メーカーによる、①「派遣労働者の配置転換」、②「クーリング期間の設定」、③「期間工としての直接雇用」、④「完全請負化」という「4つの対策」を提示していますので、以下にご紹介します。
 個別にみると、「対策①」は、同一業務での労働者派遣受入れの継続を避けるには、別の部署の新規業務への派遣契約を締結して派遣移行させる方法です。次に「対策②」は、派遣労働者を別の業務へ配転する方法です。両対策の相違点は、前者がクーリング期間の丸3ヶ月を派遣業務中止とするのに対し、後者はメーカー側の直接雇用労働者を派遣業務に配転し、派遣労働者をゼロにする点です。
 また、「対策③」は、派遣労働者を3ヶ月超の期間直接雇用する方法です。同氏は、「派遣先の直接雇用である以上、脱法的雇用とはいえない」が、「雇用期間満了後に派遣元事業主との雇用に戻る予約は、クーリング期間の脱法(実質出向と同視)」としています。しかし、たとえ派遣先の直接雇用となっても、一時的な「期間工」扱いであるなら、いつリストラされるか不確定の為、雇用は不安定と考えられるのではないでしょうか。この点について同氏は、派遣先直接雇用期間満了時の選択パターンを準備して、継続雇用を工夫することが必要と述べています。
 「対策④」は、派遣労働者を職能資格制度・技術レベルを確立することにより請負化を指向し、派遣終了後に完全請負化するという方法です。勿論、適正な請負化には、作業区分の混在をなくして明確化することが必要ですが、この完全請負化を実現する為、同氏は、メーカーである発注者の監督員(監理員)による現場検収・立会を認めても良いという考えで、その根拠を、「公共建設工事標準請負契約約款(国土交通省)」※2)に明定されていることに求めています。具体的には、公共工事に関して中央審議会が制定した当該約款は、建設業法※3)第19条(建設工事の請負契約の内容)の工事請負契約の書面化を義務としていることに基づくもので、建設工事の請負契約のモデル契約書(「建設工事請負契約書」:第1条~第55条で構成)となっているからです。
 従って、建設業の発注者の「監督員」同様、請負現場における発注者側の監理行為として「監理員」を配置することは、製造業の場合も同様に適法であり、完全請負化が可能という理論です。但し、監理員は常駐でなく巡回でも可としており、請負人側を指揮監督できないことは言うまでもありません。
※1)すでに、平成19年2月28日までに所定の手続き(記載省略)が完了していることを前提として、最長3年間の受入れが可能とされた。
※2)昭和25年2月21日作成。改正:平成15年10月31日。
※3)昭和24年5月24日法律第100号。改正施行:平成20年5月2日法律第28号。
参考:「月刊人材ビジネス2008.8.1/vol.265」(株)オピニオン。2008年6月30日付日経産業新聞。