政令26業務 派遣法改正に備え「複合業務」の実態精査は急務

◆昨年度の「派遣労働者数は約399万人」

 厚生労働省公表資料【速報版】※1)によると、平成20年度(08/4/1~09/3/31)に労働者派遣された派遣労働者数は「約399万人(398万9,006人)」で、対前年度比4.6%増でした。この数値は、所謂「労働者派遣法」※2)に基づき、各派遣元事業主が事業年度毎に厚生労働大臣に提出する「労働者派遣事業報告書」によるものです。

◆製造派遣及び「政令26業務」の派遣労働者は増加

 これまで当ブログ記事に掲載のとおり、来年の通常国会には「労働者派遣法改正案」が提出される予定ですが、すでに3党連立政権「政策合意」では“製造派遣の原則禁止”等、全面的に雇用対策の強化が打ち出されています。このように派遣法の規制強化が予測される中、冒頭の資料によると、(a)製造業務に従事した派遣労働者数は「約56万人(08/6/1現在)」で、対前年度比19.6%増加しています。また、この製造派遣労働者数の約1.8倍に相当するのが(b)所謂「政令26業務」※3)に従事した派遣労働者数で、その数は「約100万人(99万8,569人。対前年度比9.9%)」です。いずれも昨年度6月1日時点で把握された数値のため、現在の経済・雇用状況とはタイムラグが有り、若干乖離していると推測します。

◆「派遣法改正案」は通常国会で

 ところで、「連立政権の政策合意書」には“製造派遣の原則禁止”のみならず、“日雇い派遣、スポット派遣、登録型派遣”の原則禁止も盛り込まれていることは、皆様ご承知のとおりです。そしてこの度、長妻厚生労働大臣はTV番組(NHK「日曜討論」:12/6)の中で、《「非正規雇用の労働者が正規雇用になるためのいろいろな施策を検討しており、製造業での派遣労働などをなくしていく法案を提出したい」》と述べ、前記内容のとおり、労働者派遣法改正案の提出・成立を目指す考えを強調しました。

◆「事務用機器操作(5号)」に従事がトップ

 当該「政策合意」の中で、とくに「登録型派遣」については、「一般労働者派遣事業について26業務以外は常用雇用のみとする」という法改正になる可能性は高いものと推測します。そこで、前掲の(b)「政令26業務」に労働者派遣されていた派遣労働者のうち、一般労働者派遣事業(08/6/1現在)の「常用雇用以外の労働者数」の割合を見ると「43万711人(対前年比7.7%増)」で、当該派遣事業の約半分(50.8%)を占めています。また、その従事業務の内容を人数が多い順(上位3)に挙げると、(1)「事務用機器操作(5号):57.3%(24万6,920人)」、(2)「テレマーケティング(24号):8.9%」、(3)「財務処理(10号):6.3%」です。
 因みに、第1位の「事務用機器操作(5号)」は、一般労働者派遣事業の「常用雇用労働者」でも同様に第1位(43.4%:18万1,129人)です。また、一方の特定労働者派遣事業(08/6/1現在)では、前者と比較して占率は低く、人数は第3位(13.8%:2万749人)です。前掲のとおり、「政令26業務」に労働者派遣されていた派遣労働者数の全体(一般及び特定派遣労働者派遣事業:約100万人)を見ると、占率が高い順に(1)「事務用機器操作(5号)」、(2)「ソフトウェア開発(1号)」、(3)「財務処理(10号)」が上位を占め、「事務用機器操作(5号)」は合計:44万8,798人(占率:44.9%)と断突です。
◆「複合業務」ならば派遣受入期間制限有り
 「政令26業務」は派遣受入期間の制限のない業務(労働者派遣法第40条の2)ですが、“政令26業務の付随的業務”の割合が通常の場合の1日当たりまたは1週間当たりの就業時間数で1割以下のものであることが絶対条件ですから、当該割合を超える業務は、所謂「複合業務」として派遣受入期間に制限のある業務に該当することになります。従って、たとえ「政令26業務」に従事していても「複合業務」になってしまえば即時“派遣法違反”となりますので、前記の派遣労働者数の占率が最も高い「事務用機器操作(5号)」に従事している業務をはじめ、今こそ、改めて「複合業務」の実態精査が急務と考えます。
※2)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年7月5日法律第88号)」。
※3)労働者派遣法施行令第4条に規定。◆当ブログ記事(09/10/21日付):『労働者派遣法の“コンプラ”の難しさ 政令26業務』ご参照。
参考:※1)『平成20年度労働者派事業報告の集計結果について(速報版:09/11/26日付)』:厚生労働省職業安定局公表資料。