「平成20年労災発生状況」結果を踏まえて

 昨年の死亡災害・重大災害発生状況等※1)については当ブログ記事を掲載(5/28日付)しましたが、派遣労働者の労働災害発生状況について、詳しい実態を把握して今後に臨むことが肝要と思います。
◆派遣労働者の労災発生状況は横バイ
 まず、当該資料※1)によると、平成20年の派遣労働者の労働災害による休業4日以上の死傷者数は5,631人で前年より254人減少しましたが、対全労働者占率は4.4%で前年(4.5%)とほぼ同率でした。また、同年の派遣労働者の労働災害による死亡者数は31人で前年より5人減少しましたが、対全労働者占率は2.4%で前年(2.7%)と比して横バイという結果でした。当該資料は直近5年間の推移を表していますが、派遣労働者の労働災害が前年より急増したのは「平成19年(休業4日以上の死傷者数:5,885人)」からです。実際、平成19年の派遣労働者数全体の数値(381万人)が前年(321万人)の約2割増に対して、同年の派遣労働者の死傷者数が約6割増と大幅に増加したのを見ると、平成20年の実態数値が対前年より減少したとは言え、労働災害に対する改善がなされたと言うには至らないというのが実態だと思います。
◆労災多発の製造業の具体的内容は
 そこで、派遣労働者数が増加した平成19年以降、具体的にどの業種で労働災害が顕著なのかを見ると、死亡者数及び休業4日以上の死傷者数は、平成18年までの建設業に代わり、平成19・20年共に「■製造業」がトップでした。さらに、製造業における派遣労働者の労働災害による休業4日以上の死傷者数における一番占率の高い項目を見ると、業種別では「■食料品製造業(24.6%)」、年齢別では「■30~39歳(28.2%)」、経験期間別では「■1月以上3月未満(27.7%)」、また、事故の型別では「■はさまれ、巻き込まれ(29.1%)」がトップでした。とくに、この「1月以上3月未満」という経験期間の浅い派遣労働者と「はさまれ、巻き込まれ」事故は、残念ながら、直近5年間変わらず一番多い事実を注視しなければなりません。
◆安全衛生管理と機械設備等の事前教育の徹底を
 昨年の世界同時不況以降、所謂「派遣切り(非正規切り)」が社会問題と化しましたが、今後、全国各企業が減産緩和を経て、派遣から「請負化」が進展するものと予測します。しかしながら、製造業における派遣労働者の休業4日以上の死傷者数の割合が、平成17年から6割を超え、平成20年は依然として64.8%と過半を占めている状況を鑑みると、より一層安全衛生管理態勢の徹底と相俟って、とくに経験期間の浅い労働者に対しては、派遣元及び派遣・請負先責任者を問わず、機械設備等の取り扱いに係る事前教育をこれまで以上に重点を置いて取り組むことが肝要と考えます。
参考:※1)「平成20年における死亡災害・重大災害発生状況等について」平成21年5月26日付厚生労働省労働基準局公表資料。当ブログ記事(08/5/9日付):「労災発生状況と関係指針等の認知を(請負シリーズ9)」ご参照。