労働者派遣を存続していくために

◆世界で5千万人以上失業者増加(09年)の予測
 世界の失業者数は過去最高の1億9,020万人(対前年106.0%、2008年末時点:ILO)に達し、失業率は6.0%と発表(1/28)されました。ILO(国際労働機関)の年次刊行物「Global employment trends(世界の雇用情勢)2009年版」によると、世界経済危機の影響により、失業者、働く貧困層(ワーキングプア)、脆弱な雇用に従事する人の数が今後激増すると見られ、IMF(国際通貨基金)の経済予測をもとにした3つのシナリオのうち、最悪シナリオに基づくと、09年の失業率は7.1%、失業者数は5,000万人以上増えると予測されています。
◆国内の非正規労働者削減数は未曾有の数値に
 一方、わが国の非正規労働者削減数は、(ア)厚生労働省調査結果数値で12万4,802人(1/26時点)と公表され、(イ)加盟120社で構成される業界団体によるヒアリング結果数値(1/27発表)では約40万人です。因みに、(ウ)弊社は当ブログ記事(1/28・2/2日付)で約70~100万人に上ると予測しています。但し、これらはいずれも昨年10月~今年3月までの見通しを含む中途経過数値です。所謂「09年問題」対応による「派遣切り」を含め、企業の減産による雇用調整が今後は正規社員にまで波及する可能性も鑑みると、年度末までの削減人数は未曾有の数値になるものと推測します。
◆派遣労働者等の待遇改善を求めて
 このように世界同時不況の影響で非正規労働者の削減は進行し、派遣労働者の平均時給の下落も続いています。しかしながら、企業の人事担当者の立場からすれば、必要なときに効率的に人員を集めるのには少なくない苦労が伴います。それを解決してくれたのが労働者派遣法ですが、これまでの数度にわたる規制緩和で非正規労働者が「雇用の調整弁」とされてきたことは否めない事実です。ここに及んで労働者派遣法改正案の見直し論議は遅々としていますが、明日から労働者派遣が無くなる訳ではなく、正規社員との格差是正を進展させていくには、非正規労働者の待遇改善がより一層求められることになります。格差の存在は多様化した労働形態を選択した結果であると、とかく非正規労働者の自己責任のように言われますが、非正規労働者が派遣という労働形態があるから選択したのだと答えたならば、これまで派遣を法定存続してきた責任を問われても仕方ありません。労働者派遣が存在する限り、正規社員との格差是正は今後も課題となるでしょうが、まずは高い賃金水準で派遣採用が可能となれば、派遣労働者の生活安定を図ることができるものと思います。派遣労働者の位置付けを向上していくためには、労働者派遣のall or nothing でなく、安定した賃金体系の確保を前提として、派遣元及び派遣先事業主に対する厳正な指導監督による雇用管理改善に向けた取組みで、派遣労働者のより一層の待遇改善を求めていくべきではないかと考えます。
参考:ILO駐日事務所公表資料。厚生労働省公表資料。