法改正による「インハウス派遣」規制強化対応について(№27)

◆自動車業界低迷は損保会社に直結
 世界同時不況の影響は大きく、オバマ米大統領が就任するも株価はご祝儀相場とならず、わが国内の日経平均株価は依然として不安定で、1/28始値「8,052円25銭」と8千円台を割り込んでいなければ少し安堵するという昨今になってしまいました。世界同時不況の直撃後は、国内大手自動車メーカーをはじめ、輸出関連企業を皮切りに各企業が大幅減産態勢に突入して今年度業績は大幅下方修正されました。しかしながら、世界同時不況にかかわらず、地球温暖化による「環境・エネルギー問題」に世界共通課題として臨んでいることも相俟って、自動車需要自体の低迷は、損害保険会社の自動車保険販売不振へ直結して影響を受けることになりました。そしてご承知のとおり、損保会社も生き残りを図るため、来春の経営統合予定で「メガ損保」誕生の様相となりました。
◆生損保会社は生き残り策に傾注
 保険業法で生損保兼営が禁止されているため生損保会社は独立していますが、その資本系列は深く繋がっています。冒頭の株価不安定の状況下では、金融関連株を保有する生損保会社の経営が圧迫される緊急事態となっています。また、昨年の米国金融危機で外資系生保会社の合併予定は消え、その買収時期も徐々に延期されていますが、既存国内生保会社は自社基金の増資等に懸命で、外資系生保会社買収に食指を動かす経済的余力は無いものと推測します。とくに生保会社に関しては、傘下に金融機関系列の派遣会社を保有する会社もあり、このまま労働者派遣法改正案が成立すると、「インハウス(専ら)派遣」問題に直面することとなるのです。
◆「インハウス派遣」特化会社の課題は
 即ち、大手生保会社を親会社とする金融機関系列子会社においては、親会社への所謂「インハウス(専ら)派遣」に特化している傾向がある為、労働者派遣法の改正で抵触することになるからです。従って、現状のままでは、「インハウス派遣」に特化している人材派遣会社は撤退に追い込まれるのではないかと懸念され、労働者派遣法改正による事業規制強化(グループ企業内派遣の8割規制)は世界同時不況と相俟って、ボディーブローとして効いてくるものと思います。
◆事業規制強化対応は「外販」or「請負」で
 国内のとくに製造業に係る労働者派遣は所謂「2009年問題」の只中であり、今回の世界同時不況を大義名分として、当面年度内は「派遣切り」の勢いが加速するものと推測します。そして、「インハウス派遣」も「2009年問題」同様、大きな課題です。実際、「インハウス派遣」違反の場合は、現在も一般事業主に対して規制されており、「許可取消し(同法第14条第1項)」、「事業停止命令(同法第14条第2項)」及び「改善命令(同法第49条第1項)」の行政処分があります。このまま推移すれば、同改正法の事業規制強化に係る事項は「2010年4月施行」の予定のため、あと約1年間の猶予です。これを乗り越えるには、反面、今が「外販」の好機であり、自社全体の最低2割以上に相当する人材派遣を削減しておかなければなりません。「外販」しないのであれば「適正な請負」へ変更することが賢明な方法と考えます。労働者派遣法改正案は昨年閣議決定(08/11/4日付)されたものの、国会審議は遅々とした状況ですので、事業規制強化対応への具体策を講じるには決して時期早尚ではなく、今から早急にその態勢を整える必要があるといえます。