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2009.01.20

「労働者派遣法改正案」見直し論議にあたって(№25)

◆「改正案」見直し論議は最後のチャンス
 今通常国会は、専ら、「08年度第二次補正予算案」及び「09年度予算関連法案」の審議で混沌としており、「労働者派遣法改正案」の審議は延び延びの状態となっています。しかもこの度の“世界同時不況”の只中で、厚労相の「製造業まで派遣労働を適用するのはいかがなものか」との発言(1/5日付)の影響も大きく、「労働者派遣法改正案」については、改めて根本的に見直し論議が展開されることを期待するところです。
◆「日雇い派遣全面禁止」の見直しを
 というのは、昨年当ブログ記事「提言」のとおり、日雇い派遣労働者の中に学生や専業主婦やダブルワーカー等の非正規労働者が含まれており、雇用保険に入れない学生は「学生証」で、専業主婦は各所轄の役所の窓口で「無収入証明書(市・県民税証明申請書)」を入手することで「日常は非労働者」であることを証明でき、また、副収入を求めるダブルワーカーは主たる仕事で勤務する会社の「健康保険証」で本人確認が可能です。従って、学生等の「非労働者」と「日雇派遣労働者」とは区分して考えるべきであり、前者がサービス業等で一般正規社員の労働負荷を軽減または解消している点で企業はメリットも享受している訳ですから、製造派遣を含む「日雇い派遣原則禁止」は改めて見直す必要があると考えます。
◆バイト存在意義は「マスコミ等も同調」
 この度の「労働者派遣法改正案」は日雇い派遣禁止法案でもあり、この点について遡及すると、社団法人経済同友会(代表幹事:桜井正光氏)は、《日雇派遣労働者の就業機会の喪失にならないか(原文のまま。《 》内は以下同様)》という観点より、昨年「『日雇派遣』の原則禁止案に対する意見」を表明(08/9/3日付)しています。また、学生アルバイトについてはマスコミ各紙も「社説」で、(1)《禁止はこれら(引用における弊社註:学生等のこと)の人の利便性も損なう》(08/7/7日付:日本経済新聞社説)、(2)《学生や主婦には、時間に余裕があるときに仕事ができる便利さがある。》(08/7/8日付:読売新聞社説)、(3)《日雇い派遣の原則禁止は学生や主婦などこうした働き方を選択している人が不便になり、仕事を失う恐れがある。1日ごとの契約だけでなく30以内はすべてダメとなると経済に与える影響も大きい。》(08/8/4日付:日本経済新聞社説)等、と弊社「提言」に同調してアルバイトの必要性を訴えているのです。
◆バイトは「年収格差是正」にも貢献
 従って、「労働者派遣法改正案」見直しにあたっては、進行する少子社会における常時雇用労働者に相当しない学生(大学・短大生・専門学校生等)、とくにフリーター層の若者の自立への道を開くためにも、本業の勉学に支障を来たさない範囲でアルバイトを教育の一環とすることも想定でき、保護者の年収格差解消の一助になるものと考えることができます。学生アルバイトをはじめとする「日常は非労働者」と「日雇派遣労働者」全般を混同することなく、学生本来の労働形態である「アルバイト」こそ存在させる意義があり、学生・専業主婦等の最低限の生活を維持すべく手段の一つとして残すべきものと考え、「労働者派遣法改正案」の見直し論議を改めて切望します。
参考:(社)経済同友会公表資料。日本経済・読売新聞各紙。