製造派遣先事業主の責任を明確に

◆「安全教育不十分」は被災派遣労働者の約7割
 広島労働局アンケート調査(08年10月:対象者99名)で、製造業の作業現場等で労働災害に遭った派遣労働者が派遣先の事業所から機械の取り扱い方法等、労働安全衛生法が定める雇い入れ時の安全教育について、「受けていない」とする回答が約3割(33.3%)という結果が公表されました。事前の「安全教育が30分に満たない例」と合わせ、約7割(71.4%)に上るという現実が露呈されました。
◆全国調査でも「製造業の労災」は突出
 この広島労働局管内調査結果を裏付けるように、厚生労働省の全国調査結果※1)でも、派遣労働者の労働災害は、製造業への派遣解禁年(平成16年:被災者667人)から4年間で約8.8倍(平成19年:5,885人)に急増したと公表されています。とくに、業種別死傷者数(全体3,958人)では、「製造業の2,703人(占率約68.3%)」は、第2位の「運輸交通業316人(占率約8%)」を大きく引き離して断トツです。
◆指針策定や法改正は安全教育推進のため
 確かに、製造業において機械による労働災害の発生状況割合が高くなるのは容易に推測できますが、その安全対策を推進するため、①『機械の包括的な安全基準に関する指針(平成13年)』の公表や、②『「労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)」等の一部を改正する法律(平成17年法律第108号)』の施行(平成18年4月1日)、そして、③『製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針(平成18年8月1日。基発第0801010号)』が策定されてきた経緯があります。冒頭の広島労働局調査の事例では、機械を直接取り扱う機会の多い製造業における派遣労働者の被災までの作業日数を見ると、「2ヵ月以上」が約7割(約69.0%)、うち「1年超」は約半数ですが全体の約3割強(約33.3%)に過ぎず、経験年数の浅い派遣労働者が被災しているのがわかります。
◆「派遣先企業の責任」を明確に
 このように製造業では熟練度が影響するため、とくに経験年数の浅い派遣労働者に対しては、就労前の安全に係る指示は当然欠くことができない重要事項であり、派遣先事業主による派遣就業場全体における総合的安全衛生教育の「実施」が肝要です。そういう観点から、当ブログ記事(1/15日付)「製造派遣規制強化は『派遣切り』を加速させる」で述べたとおり、派遣元事業主のみにすべての責任を求めるだけでなく、今後は、「派遣先事業主責任者(認定・管理)」の新設・義務化により、安全教育の完全実施を含めて「派遣先事業主の責任を明確にする」ことが必要と考えます。
参考:※1)「平成19年における労働災害発生状況(確定)」厚生労働省労働基準局公表資料。広島労働局公表資料。中国新聞記事。