事務派遣規制強化の「改正法(案)」に臨むにあたって(№24)

◆労働局主催の研修会に出席
 この度、東海地域の4労働局(愛知・静岡・岐阜・三重)合同による「請負・派遣適正化合同キャンペーン(平成20年10月~12月)」の一環として開催された「労働者派遣事業・請負事業の適正化に向けた研修会」に出席してきましたので、改めて、「派遣受入期間の制限がない業務(政令26業務)」※1)の留意点について述べたいと思います。
◆事務派遣に対する規制強化
 現在、「労働者派遣法改正案(11/4閣議決定)」は与野党で協議中ですが、世界金融危機の直撃で、衆議院解散・総選挙も吹き飛ばされ、景気・雇用対策が優先のため、成立の見通しはまだ不透明です。ただ、これまで規制緩和で進んできた労働者派遣法は、ここに来て、事業規制強化へ方向転換されることになりました。その背景には、これまで発生した「偽装請負」や「日雇い派遣」に対する規制のみならず、むしろ、当ブログ記事(11/20・25日付)に掲載した「インハウス(専ら)派遣」に係る事務部門への派遣に対する事業規制強化に焦点が当てられているのです。
◆“偽装事務派遣”の疑義はないか
 「インハウス(専ら)派遣」における規制強化については、前掲の当ブログ記事に譲るとして、問題はその事務派遣業務の中身です。即ち、①「政令26業務」が適正に行われているか否かが問われており、長期派遣を可能とする手段として、一般事務派遣が、「事務用機器操作の業務(政令第4条第5号)」※2)や「ファイリングの業務(政令第4条第8号)」※3)に従事するものと偽装されているのではないかという疑義の有無です。
◆「付随業務」と「付随的業務」は異なる
 また、「政令26業務」には、②「政令26業務」の付随業務と、③「政令26業務」の付随的業務があることを忘れてはいけません。前者②は、「政令26業務」と密接不可分な行為または一体的に行われる行為であり、後者③は、「政令26業務」の①及び②以外の業務(所謂「複合業務」)です。つまり、③の「政令26業務」の付随的な業務については、その割合が通常の場合の1日当たりまたは1週間当たりの就業時間数で1割以下のものである場合、全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱うことができるのです。従って、それ以外の業務(割合が1割超の場合)は、「自由化業務」に該当し、派遣受入制限を受ける業務の取り扱いとなるのです。
◆「政令26業務」でも派遣契約上の制限有り
 この「政令26業務」は、平成15年の改正(施行:平成16年3月1日)で派遣受入期間の制限が撤廃されました(法第40条の2第1項)が、派遣契約上の期間制限がないのは、「政令第4条第14号~第16号及び第24号」に限定されており、これら以外の業務は、派遣契約上3年の制限(更新可。但し、自動更新不可)があることに留意しなければなりません。「政令26業務」の制限については、「同一業務」と併せて、個々契約と派遣状況を精査し、今後の法改正に万全の態勢で臨んでください。
※1)労働者派遣法施行令第4条で指定されている26業務(第1号~第26号)。
※2)電子計算機、タイプライター、テレックスまたはこれらに準ずる事務用機器の操作の業務。
※3)文書、磁気テープ等のファイリングに係る分類の作成またはファイリングの業務。
参考:「派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(社団法人日本人材派遣協会編著)」(社)財形福祉協会。「新版労働者派遣法の法律実務【上巻】(安西愈著)」(株)労働調査会。