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2008.11.28

違法派遣に対処する「労働者派遣法改正案」について(№22)

◆違法派遣対処のため
 わが国内は世界金融危機の大きな影響を受け、年の瀬を目前に、とりわけ輸出関連産業を中心に大幅な減産態勢とコスト削減に伴う大幅な人員削減に突入しました。政局は遅々として進展が捗らないようですが、閣議決定(11/4日付)された「労働者派遣法改正案」は、ようやく与野党で協議中です。労働者派遣法の規制強化はこれまでの規制緩和以来初めてですが、一部では、「抜本改正にはなっていない(日弁連)」との批判もあります。
 当改正案は、これまでの偽装請負等の違法派遣の増加や、行政処分を受ける企業の増加が問題視され、違法派遣に対する迅速・的確な対処を目的としています。即ち、(1)派遣先に対する労働契約申込みの勧告制度創設や、(2)処分逃れを防止するため欠格事由を整備するという規定になっています。その背景には、違法派遣の是正が、逆に労働者の不利益(雇止め、解雇等)に繋がる場合もあり、また、同じ事業主の下、違法を繰り返す派遣先が増加し、処分逃れを画策する事業主が現出する等の実態が存在したからです。
◆労働契約申込の勧告と派遣事業開始の欠格事由
 従って、(ア)偽装請負等、派遣先に一定の責任があり、派遣労働者が希望する場合には、行政が、派遣先に対して、労働契約を申込むこと及び賃金その他の労働条件を低下させることのないよう措置をとることを勧告する(労派法第49条の2第2項関係)という改正案になっています。また、(イ)派遣先の法違反に対する是正措置を強化するため、指導または助言前置を廃止し、より強い行政措置(勧告)の発動を可能としています。そして、(ウ)労働者派遣事業開始の欠格事由としては、①許可を取り消された法人等の役員※1)であった者で、取消し等の日から5年を経過しないものや、②許可取消し等の手続きが開始された後に事業の廃止届出をした者(廃止届出者)で、届出の日から起算して5年を経過しないもの等の場合が挙げられており、許可されないこととなっています。
※1)当該取消し等の原因となった事項があった当時現に当該法人の役員(業務を執行する役員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、名称を問わず、これらの者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)であった者。
参考:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」厚生労働省公表資料。