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2008.05.26

定期監督等に備える企業の対策とは

 全国の地方労働局は、国の「地方労働行政運営方針」に則し、各局内の管内事情の重点課題を盛り込んだ行政運営方針を策定しており、同方針に従って「定期監督等」※1)に臨みます。そこで、平成18年に実施された定期監督等実施結果について、「東京労働局(管下18労働基準監督署)」※2)及び「愛知労働局(同14労基署)」※3)の関係資料を見ると、実施件数(違反率)は、それぞれ9,060件(72.0%)、6,145件(66.9%)でした。勿論、各々は管下の労働基準監督署数が異なる為、実施結果の絶対数に差が出ますが、認識いただきたいのは、(a)違反該当業種と(b)主な法違反内容です。
 まず、(a)について、東京労働局の多い順に3業種を挙げると、①建設業(4,774件)、②製造業(916件)、③商業(880件)で、同様に愛知労働局は、①製造業(2,252件)、②建設業(1,644件)、③商業(615件)でした。とりわけ、愛知労働局の製造業件数が、前者の約2.5倍になっているのは、愛知労働局管内の製造業者数が多いのを反映していると推察します。要するに、両局共に、建設業と製造業の合計で、いずれも約63%を占めているのです。
 次に、(b)について、定期監督等における主要な法違反の状況(労働基準法違反及び労働安全衛生法違反)の件数の多い順(8位まで)にみると、東京労働局は、①労働時間、②安全基準、③割増賃金、④安全衛生管理体制、⑤就業規則、⑥労働条件明示、⑦特定元方事業者・注文者、⑧健康診断。そして、愛知労働局は、①労働時間、②就業規則、③安全基準、④割増賃金、⑤健康診断、⑥安全衛生管理体制、⑦労働条件明示、⑧定期自主検査でした。とくに、労働基準法違反関係の「ワースト4」は、両局の順位及び件数は異なりますが、ともに、「労働時間」、「割増賃金」、「就業規則」、「労働条件明示」に絞られる結果となっています。
 これらの結果を踏まえ、定期監督等の該当件数が多い建設業及び製造業の企業は、とくに重点的に取組みいただきたいのですが、法違反内容である労働条件及び安全衛生関係の別を問わず、いつでも定期監督等に臨める体制を確立しておかなければなりません。実際の臨検では、労働基準監督官は、以下に挙げる「労働関係帳簿等」※4)をチェックの他、チェック項目に関するヒアリング実施を含め、労基法、安衛法、最賃法等の各規定が守られているか否かを確認しますので、改めて、労働関係帳簿等の確認・整備が重要です。主な労働関係帳簿等※2)を列記すると、①就業規則(本則)、②賃金・退職金規則(別規則)、③労働者名簿、④賃金台帳、⑤労使協定書、⑥タイムカード、PC記録、⑦安全衛生管理体制の選任、設置活動の記録、提出書類(安全管理者、衛生管理者、産業医安全委員会、衛生委員会等)、⑧健康診断記録(採用時、定期、特殊作業の健康診断)です。
 各所轄の労働基準監督署は、労働災害発生件数の多い建設業、製造業等の事業場・企業に対し、また、とくに、前記「ワースト4」の労働条件確保に問題がある事業場・企業に対しては、厳しい監督指導で臨む姿勢を示していますので、各事業場・企業におかれては、労働環境体制を万全なものにすることが求められます。
※1)管内状況及び問題点を把握し、過去の監督指導暦等も考慮した上で対象事業場を選定し、労働関係法令の遵守を目的に法定労働条件の確保、労働災害の防止等を図るため計画的に行う監督指導及び各種の情報、労働災害の発生等を契機として行う監督指導のこと。
参考:※2)「平成18年に実施した定期監督等の実施結果(平成19年4月27日付)」東京労働局公表資料。※3)「平成18年に実施した定期監督等の実施結果」愛知労働局公表資料。※4)「『労基署調査』これが実際だ!対応策だ!(セルバ出版編集部著)」セルバ出版。