改正法案「インハウス(専ら)派遣」対応について(№20)

◆改正法案は臨時国会で成立するのか
 世界金融危機の煽りで、企業が大幅減産態勢やコスト削減に伴う人員削減に突入している中、政局は、金融機能強化法改正案等の採決を目指す与党に対し、今年度第二次補正予算案の提出を求める野党との攻防で混沌とした状況です。厚生労働省が作成した「労働者派遣法改正案」は閣議決定(11/4日付)されましたが、今国会が会期延長された場合でも、労働者派遣法改正案成立の見通しは不確定と思われる現況です。
◆「インハウス派遣」は8割規制
 これまでも所謂「インハウス(専ら)派遣」については、一般労働者派遣事業(許可制)において、労働者派遣法では、「当該事業者が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと」を要件の一つとし、許可基準が規定(同法第7条第1項第1号)されていました。しかし、当改正案では、需給調整システムとして相応しくない事業形態の横行が問題視され、「グループ企業内派遣の8割規制」とされており、事業規制強化の一環となっています。即ち、親会社及び連結子会社という同一グループ企業内の事業主が派遣先の大半を占めている現状から、グループ企業派遣は、「第2人事部的」なものに位置付けられていないかという点と、本来、直接雇用する者を派遣として労働条件の切り下げに相当しているのではないかという点について懸念され、今回の改正案に至っています。
◆8割基準超には各措置実施
 この点に基づいて、グループ企業内の派遣会社が一事業年度中に、当該グループ企業に派遣する人員(定年退職者を除く)の割合を8割以下に抑えなければならず、8割基準を超えている場合には、指導、指示、許可の取消し等の各措置が順次実施されます。また、これまで、厚生労働省令で定める場合において行われるものを除くという「インハウス派遣」の例外も、離職した労働者(定年退職者を除く)を元の企業に派遣することについて、離職後の1年間は禁止とされているのです。
◆「適正な請負」or「外販」を
 改正法案成立を待つまでもなく、「インハウス派遣」違反の場合は、現在も一般事業主に対して規制されており、「許可取消し(同法第14条第1項)」、「事業停止命令(同法同条第2項)」及び「改善命令(同法第49条第1項)」の行政処分があることを忘れないでください。改正法は「2009年10月施行」の予定ですが、前掲の事業規制の強化に係るものは「2010年4月施行」の予定とされています。2009年を目前にし、いずれにしても、「インハウス派遣」の規制強化は、あと約1年間の猶予しかないと考えて臨まなければなりません。つまり、「インハウス派遣」特化の派遣会社にとっては、自社全体の最低2割以上に相当する人材派遣を削減する必要に迫られているのです。勿論、当該基準をクリアするためには、外販(他の派遣会社に依頼)する方法等もありますが、冒頭に述べたとおり、世界経済の悪化と金融危機直撃の中、各企業は「減産ドミノ」状況にあるので、派遣先が容易に決まらないという不安も否めません。明確な対応は、「適正な請負」または「外販」しかありません。決して時期早尚ではなく、今から準備する必要があります。
参考:厚生労働省職業安定局公表資料。