事務部門への指導監督強化の警告

◆事務派遣に監査波及
 米国の金融危機に伴う円高株安の影響で、大手メーカーの営業収益が下方修正される等、国内実体経済が急減速している中、ここに来て、製造派遣や軽作業に対して吹き荒れた都道府県労働局の監査(指導監督)が、事務派遣にも波及しています。
◆散見される偽装事務派遣
 今回、事務派遣において、労働者派遣法施行令第4条で指定されている26業務(以下、「政令26業務」と記す)が適正に行われているか否かについて、監査が強化されています。本来、法的には、一般事務は「政令26業務」に該当しません。しかし、実際の職場では、この一般事務派遣を、「事務用機器操作の業務(政令第4条第5号)」※1)や、「ファイリングの業務(政令第4条第8号)」※2)に従事するものと偽装し、「政令26業務」に合致しているという手法で長期派遣を行っているケースが散見される為、監査強化を招いています。これはまさに、「偽装事務派遣(違法派遣)」と言わざるを得ません。
◆「適正な事務派遣」に臨む
 労働者派遣事業を行う場合、そもそも「政令26業務」は、業務の専門性や特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務であるという点を根拠に、常用労働者の代替防止の対象としては問題が無いという観点から、平成15年の法改正(平成16年3月1日施行)で、派遣受入期間(派遣可能期間)の制限を受けない専門等業務と規定されたのです。つまり、「政令26業務」に含まれる前掲の「第5号業務」及び「第8号業務」然りです。しかしながら、「第5号業務」の機器操作は、習熟を必要としない機器の業務は含まず、また、「第8号業務」についても、単純な機械的仕分け作業等、専門的な知識等を用いることのない業務は除外されているため、一般事務派遣は「政令26業務」には該当しないのです。従って、当局による指導監督の有無にかかわらず、改めてコンプライアンスの面から「適正な事務派遣」となるよう自主点検が肝要と警告します。
※1)電子計算機、タイプライター、テレックスまたはこれらに準ずる事務用機器の操作の業務。
※2)文書、磁気テープ等のファイリングに係る分類の作成またはファイリングの業務。
参考:「派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(社団法人日本人材派遣協会編著)」(社)財形福祉協会。「新版労働者派遣法の法律実務【上巻】(安西愈著)」(株)労働調査会。