厚労省「通達」に対する留意点について

◆「適切な対応」の要請
 この度、厚生労働省は、「いわゆる『2009年問題』への対応について」と題する通達(9月26日付)を全国の労働局長宛に通知し、また、派遣先となる経営者団体及び労働者派遣や請負を行う事業主団体へ職業安定局長から文書を発出し、適切な対応及び会員企業への周知を要請しました。そこで、以下に当該「通達」の留意点を列記しましたので、直面する「2009年問題」の解決に首尾よく臨んでいただきたいと思います。
◆「基本的な考え方」に対する留意点
(1)派遣可能期間満了に伴う「抵触日」の一斉到来という所謂「2009年問題」の対象となるのは、特定製造業務に係るすべての労働者派遣であり、それには「紹介予定派遣」も含まれます。
(2)「抵触日」到来後の適切な対応は、①指揮命令が必要な場合は「直接雇用」に、②指揮命令が必要でない場合は「請負」にすべきという二者択一の方法しかない点を肝に命じてください。とくに「請負」は出来高で判断するのではなく、指揮命令の有無が「適正な請負」の判断基準となります。
(3)「クーリング期間」中は、労働者派遣を受入れることはできず、直接雇用で対応しなければなりません。直接雇用の後に、再度の労働者派遣の受入れを予定している場合は、労働者供給事業として「是正指導」を受け、再度の労働者派遣となれば「助言」を受けることになります。また、「偽装請負」となる場合も、同様に「是正指導」を受けることになります。
◆派遣労働者の自由意思を束縛する要因
 当該「通達」において、所謂「飛び石」派遣※1)は、正規雇用逃れとして認められていませんが、たとえ「飛び石」派遣を実行したとしても、派遣会社が派遣労働者の寮の管理や代行を委託されている場合は、それが「支配従属関係(所謂、ヒモ付き)」にあるとみなされ、派遣労働者の自由意思に基づく雇用契約を妨げる要因と判断される為、「ヒモ付き」関係が存在する限り対抗することはできません。また、直接雇用に移行後も、業務が継続する限り期間を満了とすることはできません。あくまでも、「雇用の安定」を原則とする適切な対応が求められます。
◆「大量雇用変動届」の提出を
 「2009年問題」対応に際し、大量の雇用変動が伴うこととなりますが、この場合、「大量雇用変動届(雇・様式第8号)」を届出なければなりません(雇用対策法第28条第1項)。これには事業規模の縮小等の要件はなく、自己の都合または自己の責めに帰すべき理由によらないで離職する者の数が、常時雇用労働者30名以上の雇用量の変動、つまり離職者が出たときに、少なくとも変動日の1ヶ月前に公共職業安定所長に届け出なければならず、派遣会社もその対象となります。届出をせず、または虚偽の届出をした場合は、罰則(30万円以下の罰金:雇用対策法第38条)で担保する義務規定ですので、メーカーも派遣会社への指導をきちんと実行する必要があります。但し、経済的事情による事業規模の縮小等の実施に伴う「再就職援助計画」※2)を作成し、公共職業安定所長に提出して認定を受けた者については、「大量雇用変動届」の提出は免除されます。
※1)当ブログ記事(10/2日付)「『飛び石』派遣はコンプラ違反!」ご参照。
※2)労働者の再就職援助の為の措置に関する計画。当該事業場の過半数労働組合等の意見聴取要。
参考:平成20年9月26日付厚生労働省職業安定局公表資料。