『労働者派遣法改正案要綱』の“均衡待遇”が意味するもの

◆解釈で変わる“均衡待遇”

 労働政策審議会の『答申(09/12/28日付)』を受け、現在、改めて同法改正案『要綱』が労政審に諮問(10/2/17日付)されましたが、この“均衡待遇”は具体的に誰との均等待遇なのでしょうか。極論して、例えばパートだけの部署への派遣は、一体誰との均衡待遇になるのでしょうか。何をもって均等待遇を指すのか、曖昧な表現で解釈により大きく変わるのではないかと思われます。

◆求められる“均衡を考慮した待遇の確保”

 当該『要綱』※1)では、派遣元事業主が《雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案》するよう明記されていますが、言わば、この総合的判断がどこまで具現化できるのか不透明です。要するに、派遣元事業主は、《雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮』して、『その賃金を決定するように配慮しなければならない》という趣旨です。また、その他に当該派遣労働者について、《教育訓練及び福利厚生の実施》や《円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならない》としています。

◆派遣元企業の経営を圧迫する同法改正案

 “均衡待遇”と言えば聞こえは良いのですが、果たして、それだけで“格差是正”が可能となるのでしょうか。わが国内の某民間運輸会社では、すでに正社員の給与を下げ、正社員以外の賃金水準を上げた企業もありますが、全国派遣元企業が一斉に“均衡待遇”に迫られる同改正案は、派遣元企業の経営をより一層圧迫する事態を招くことになると予測します。
※1)『「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」の諮問について(厚生労働省発職0217第1号)』平成22年2月17日付。