混迷する政局と労働者派遣法改正案について(№9)

◆人格が問われた首相辞任表明
 福田首相の辞任表明が、突然とか電撃とか言われてから早1週間が経過し、マスコミによるバッシッングの中、「あなたと違うんです。」の流行語?が誕生しました。これは辞任会見時の、中国新聞(国内)記者による最終質問に対する返答ですが、「あなたと“は”違う。」と言うのとは微妙にニュアンスが異なりますが、皆さんはどのように感じられたでしょうか。この点について、朝日・日経・読売大手3紙の読みくらべサイト「新‘s(あらたにす)」のコラムで、コラムニストの栗田亘氏(元朝日新聞「天声人語」執筆者)が、「『瞬発力』をよみくらべる(9/5日付)」というタイトルで詳しく語っていますのでご覧ください。
◆改正案検討に期待
 閑話休題、武部元幹事長は会合で、「サッカーの試合に例えて、自民党総裁選はまだ前半、衆院解散までがハーフタイムで、後半が総選挙だから、勝負はこれから」との弁。そして、今月10日に自民党総裁選が告示されましたが、臨時国会召集は当初予定(9/12)より大幅に遅れる形勢(9/24)となったことに変わりなく、「労働者派遣法改正案」についての議論が待たれるところです。
◆法改正後も合法手段有り
 今後の労働者派遣制度の在り方については、すでに厚生労働省の研究会報告書※1)で明らかですが、これまで規制緩和を重ねてきたにも係らず、ここに来て、「日雇い派遣の期間1ヶ月内原則禁止」や「グループ内企業への派遣8割以下」等の規制をするだけで、果たして労働者派遣に係る問題が解決するのでしょうか。紹介予定派遣を含む労働者派遣、有料職業紹介制度の下、経済的に余裕が無く、その日暮らし(from hand to mouth:手から口への生活)の日雇い労働者にとっては、常用雇用を実現できるまでの生活費確保が最優先課題であることは、これまでも当ブログ記事※2)で述べたとおりです。従って、例えば、派遣労働者が事前了解の下、派遣労働が終了した時点で、「1ヶ月未満の労働対価全額を、本人へ通貨現金で第三者代行会社が金利無しで支払いを実行する」という合法的方法も可能(都道府県労働局了解済)なのです。この方法によれば、1ヶ月以内の職業紹介も有効となり、日雇い派遣禁止の効力は発し得ないのです。
◆根本的な法改正を
 日雇い派遣はワーキングプアの温床と指摘されてきましたが、民放ドキュメンタリー番組は、違法業者と日雇派遣労働者にスポットを当て、“使い捨ての雇用の闇”として現実を紹介していました。某ガソリンスタンドのアルバイト男性は、フリーター労組への相談を経て、180日間にもわたる労働審判(東京地裁)で勝訴(未払い残業代及び和解金の支払い)して解雇無効となったのですが、本人は退職し、地方で臨時農業に従事しているところで番組は終わりました。勝訴事例だった点は救われましたが、誰もが容易に解決できるとは限りません。その後、某ガソリンスタンドは、セルフ販売方式に転換してしまい、結局、派遣労働者の問題解決にはなっていません。こうした現実を踏まえ、政府は単に規制強化をするのではなく、日雇いを含む派遣労働者の労働環境改善の為、派遣会社への指導や派遣労働者への安全教育等ができる態勢を整えさせることが重要ではないでしょうか。まさに今、根本的な法改正を望みます。
※2)当ブログ記事(8/8日付)「日雇い派遣禁止法案について(№4)」ご参照。
参考:※1)「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書(平成20年7月28日付)」厚生労働省資料。日本経済新聞記事等。