「インハウス派遣」規制強化への対応

◆グループ内企業派遣の規制案
 これまで規制緩和が進められてきた労働者派遣制度は、同省有識者研究会がまとめた報告書に基づき、労働政策審議会にて改正法案づくりの議論が進められているところです。所謂「インハウス(専ら)派遣」は、これまで労働者派遣法の許可基準として、人材派遣を特定の派遣先に限って行うことを禁止(同法第7条第1項第1号)したものであり、「事業者が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと」を要件の一つとしてきましたが、この度、当該報告書に、「グループ内企業に派遣する労働者の人数の割合を8割以下に規制」するという規制強化策が盛り込まれました。これは、大企業等が派遣会社をつくり、グループ企業にだけ派遣することも直接雇用の回避に繋がるとの観点から問題視されたことに因るものと思われます。
◆勧告制度は既存
 「インハウス派遣」の例外としては、「厚生労働省令で定める場合※1)において行われるものを除く(同法第7条第1項第1号)」と規定しており、この勧告対象とされない場合を除いて、前掲の許可基準について、特定の者のみへの派遣を目的として労働者派遣事業が行われている場合には、行政指導により適正なものへの是正を図ることを意図し、厚生労働大臣が事業の目的及び内容を変更するようにできる勧告制度を定めています。
◆新たな労働力確保が課題
 しかし、規制強化が現実となれば、これまで「企業グループの会社のみにしか派遣しないと固定しない限りは一社専属派遣形態とはいえない」と判断されてきたグループ内企業派遣も規制対象となり、人材確保の面で新たな改善が求められることになります。つまり、その制約の中で、業務を遂行するためには、新たにアウトソーシング(外部委託)や請負という形態での労働力確保が必要となってくるからです。改正法案の規制強化を想定すると、今後、個々企業は、業務遂行策の推進や人材確保のための営業活動が求められることになるのではないかと考えられ、法改正の内容が注目されるところです。
※1)「当該労働者派遣事業を行う派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、10分の3以上の者が60歳以上の者(他の事業主の事業所を60歳以上の定年により退職した後雇い入れた者に限る。)である場合とする。」(労働者派遣法施行規則第1条の3)。
参考:「新版労働者派遣法の法律実務【上巻】(安西愈著)」労働調査会。日本経済新聞記事。