雇用調整による整理解雇後の派遣労働者の受け入れについて

◆「解雇」は、労働契約法へ移行
 これまで民法(第627条)※1)は、期間の定めのない雇用契約はいつでも解約でき、解約の予告期間も辞職の場合と同様に2週間と規定し、解雇の自由を使用者に保障してきました。しかし、「解雇権濫用法理(昭和50年4月25日最高裁判例:日本食塩製造事件)」が確立されて以降は、その民法規定に反し、解雇が制約されるものとなりました。その後、当該法理は、「労働基準法第18条の2」として明文化(平成15年改正)されたのですが、労働契約のルールであった為、昨年、「労働契約法(平成19年12月5日法律第128号)」※2)の成立により、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」として、同法「第16条」に移行されました。
◆整理解雇の4要件
 雇用調整のための整理解雇については、東京高裁判例(昭和54年10月29日)によって、以下の4要件が必要とされています。①人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)、②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(解雇回避のために配置転換等をする余地がないこと)、③解雇対象の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)、④解雇手続きの妥当性(労使協議等を実施していること)。
◆派遣先指針に規定
 即ち、整理解雇後のポストに派遣労働者を受け入れることは、本来的にそのポストが必要で、常用労働者を整理解雇する必要はなかったのではないかと判断される結果を招きます。従って、所謂「安易なリストラ」の実施によってコスト削減が図られるのは望ましくないという観点から、「派遣先が講ずべき措置に関する指針(第2-16)」に、「当該解雇後3箇月以内に派遣労働者を受け入れる場合には、必要最小限度の労働者派遣の期間を定めるとともに、当該派遣先に雇用される労働者に対し労働者派遣の役務の提供を受ける理由を説明する等、適切な措置を講じ、派遣先の労働者の理解が得られるよう努めること。」と定められています。
※1)当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
※2)施行:平成20年3月1日。
参考:「派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号。最終改正:平成19年厚生労働省告示第50号)」厚生労働省資料。「わかりやすい労働契約法(野川忍著)」(株)商事法務。「人事・労務管理シリーズⅣ―労働者派遣編―派遣を使う、活かす。ここがポイント(社団法人全国労働基準関係団体連合会編著)」及び「労働者派遣法の改正点と実務対応(安西愈著)」労働調査会。