“業務偽装”を回避すべく「複合業務」の実態精査を

◆事務派遣会社への「是正指導」相次ぐ
 労働者派遣事業において、派遣受入期間の制限のない業務の一つとして、所謂「政令26業務」※1)があります。この「政令26業務」は、労働者派遣法施行令※2)の第4条第1号から第26号までに規定されているのは、皆様ご承知のとおりです。ここで「政令26業務」を取り上げるのは、当ブログ記事(09/9/15日付)に記載のとおり、事務派遣会社への是正指導が相次いでいるからです。
◆「派遣法改正案」の議論は通常国会か
 「労働者派遣法改正案」については、過日、野党3党共同による同法改正案が提出されましたが、衆議院解散により審議未了で廃案になったという経緯です。そして、この度の“政権交代”に臨み、3党(民主党、社民党、国民新党)連立政権による「政策合意」で“雇用対策の強化”が謳われ、長妻厚生労働大臣の意向(9/17:大臣共同会見)どおり、「労働者派遣法改正案」については、改めて審議会(10/7:分科会)での議論が開始されました。年内に改正案をまとめるとの意向ですから、成立は来年の通常国会に先送りされる模様です。
◆「第5号」及び「第8号」の業務規定
 こうした経緯を踏まえ、派遣法改正を待つまでもなく事務派遣において留意しなければならないのは、前掲「政令26業務」のうち、とりわけ、「第5号(機器操作)」及び「第8号(ファイリング)」に係る業務の実態です。当該業務の規定を改めて確認すると、前者は、《電子計算機、タイプライター、テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作の業務》と規定されており、迅速かつ的確な操作に習熟を必要とするものに限られていますので、それを必要としない機器は含まれません。また、後者は、《文書、磁気テープ等のファイリングに係る分類の作成又はファイリングの業務》であり、単に機械的な仕分けを行うものではないことを要しており、専門的な知識等を用いることのない業務は含まれません。
◆従事業務の実態精査を
 前掲の「第5号」及び「第8号」の業務は「政令26業務」の一部に過ぎませんが、労働者派遣事業において、派遣受入期間の制限を受けない業務※3)として適用されるには、専門的業務とされるこの「政令26業務」の実態が伴う事務派遣になっていなくてはなりません。本来、「政令26業務の付随的な業務」は、《その割合が通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数で1割以下のもの》を指すのであり、その場合に《全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱うことができる》のです。従って、当該割合を超える業務は、所謂「複合業務」として派遣受入期間に制限のある業務に該当することになることを再認識しなければなりません。今後、当該規定の内容も検討の余地があるものと考えられますが、“業務偽装”を回避するには、先ずは個々の業務契約内容と実際に派遣従事している専門的業務の実態精査が急務であると考えます。
※1)労働者派遣法第40条の2第1項第1号。
※2)『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令』:昭和61年4月3日政令第95号。
※3)その他、「有期プロジェクト業務」等は労派法第40条の2第1項第2号イ等に規定されている。